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それから
  夏目漱石   
三十を過ぎても定職につかず、漫然と生きる長井代助には、かつて愛した女性を親友に譲った過去があった。彼女と再会した代助を襲う衝動、それは真実の愛か、理に悖る愛か―。近代人とエゴイズムの問題に切り込んだ『それから』。罪を負った代助の“後日の姿”を冷徹に見つめた『門』。永遠の名作二篇を収める。 (内容紹介より)



何故か急にこの本を読みたくなりました。
かつての”文学少女”の名残でしょうか??(^▽^)。
とはいえ、この作品は、「三四郎」「それから」「門」の三部作だそうで、「三四郎」を読んでいなかったのは、痛恨の至りです。無知と言うのは、恐ろしい(^_^;。

主人公代助は、親元を離れて暮らしているとはいえ、仕事もせずに、日がな一日読書をしたり、散歩したりの、全くうらやましい限りの生活。
それでも、本人には、なんの良心の呵責もなく、悠々自適で、世間からも、咎められることもないわけで、それがその時代のお金持ちの生活ということなのでしょう。 むしろ、仕事をすることに対する軽蔑のようなものも感じられます。
今なら、どんなに金持ちの息子でも、ちゃんとした仕事をしていないと世間からも認められないですけどね。

また、30を超えた彼の結婚観は、否定的で、親からの結婚話にも、全く興味を示さず、周りをやきもきさせるところも、世間離れしたお坊ちゃま。すべてにおいて達観的で、興味があるのは、自分のことばかり・・・いやはやという感じです。
しかし、それも、運命の人に出会えば、180度変わってしまうところが、人間の性(さが)でしょうか。
しかも、その相手は、禁断の相手・・・。
今まで、のほほんと生きてきた彼にとって、最初で、最大の大きな困難だったわけですが、それでも、彼の考え方は、どこか世間離れしていて、面白いです。
果たして彼に結婚に伴う諸処を解決してゆく能力があるものなのかは、はなはだ疑問で、これからどうなってしまうのか・・・?
そこがまさに、この題名「それから」ということなのでしょうか。
ということで、三部作の最終章「門」を読むのが楽しみになりました(^_^)。 (2017,06,28)