ガルヴィアスの犬
ジョゼ・ルイス・ペイショット 木下眞穂訳
村の匂いが変わったことを、犬たちだけは忘れなかった。
巨大な物体が落ちてきて騒然とする村と、そこに暮らす人々の、
色とりどりの悲喜劇。現代ポルトガル文学を牽引する作家の代表作。(裏表紙より)
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ポルトガルのガルヴェイアスという村に、ある日、突然巨大な物体が落ちてきた。
それによって村は、硫黄の異臭が強く漂うようになり、人々の生活に影響が現れ始める・・・。
・・・しかし、その巨大な物体についての原因やら正体やらは、全く描かれていません。
そんなワケの分からない物よりも、その地域に住んでいる人々の、様々な生活が、細かく描かれています。
たくさんの人や場所が登場して、それぞれの人生の一部が語られています。
その中で、不可解な物体の影響も現れます。
硫黄の強い匂いにより、食べ物の味が変わったり、人々の身体にも、影響が現れ始めます。
突然落下してきた物体が気になって読みはじめたのですが、その点、ちょっとはぐらかされた感がします。
でも、それ以上に、その土地に住む人たちの生活感が面白かったです。
どこにでもあるような村の、どこにでもいるような人たちでも、一人一人に、ドラマがあって、退屈なことなんて、ないのでした。
ただ、登場人物が多いせいか、ポルトガルの名前が馴染めないせいか、あれ?この人誰だっけ??ということも多くて、その点ちょっと大変でした(^_^;。
ちなみに、私がこの本の存在を知ったのは、第五回日本翻訳大賞の受賞でした。
同時に受賞したウィリアム・ ギャディス著、木原善彦訳「 J R」も読むつもりです。
(2019,05,12)
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