ホロー荘の殺人
アガサ・クリスティ
アンカテル卿の午餐に招かれホロー荘に来たポアロは少なからず不快になった。 邸の庭にあるプールの端に一人の男が血を流して死んでおり、 傍らにはピストルを手にした女がうつろな表情で立っていたのだーーー いくら彼が探偵とはいえ、こんな歓迎の仕方は見当違いのユーモアのセンスというものだ! ポアロはいささかうんざりした。 しかし・・・死体は本物だった。 殺されていたのは、やはり午餐に招かれたジョンという医師で女はその妻だった。 果たして、これは殺人なのか? ホロー荘に集った人々の心理葛藤の中に真相を読むポアロ。(裏表紙より)
またクリスティ作品に戻ってきました。
この作品は、コロナ禍になってから一度読んだのですが、再読。
うん、何度読んでも面白いです。
冒頭は、登場人物達の描写が長く続き、ちょっと面倒ですが、それがあってこそのこの物語です。
特にホロー荘の奥方アンカテル夫人の摩訶不思議な人物描写がひときわ光っていて面白いです。
こんな人と暮らしたら、さぞ大変でしょうが、退屈はしない事でしょう。
使用人たちにも慕われているところから、彼女の素敵さが分かるというものです。
イラッとくるのは、やはり、ジョンの妻ガーダの描写です。
センスが悪いとか、頭が鈍いとかそういうことは仕方のない事だけれど、自分に自信がなくて、いつもオドオドしているところは、読んでいてイラつきました。
他にも、ヘンリエッタとか、ミッジとかエドワードとか、そして、ヴェロニカ・クレイも。それぞれ個性溢れる人物たちが登場して、作品を彩り、ミステリーを盛り上げます。
今回も当事者となってしまったエルキュール・ポアロは、出番こそ少なめですが、彼の見事な謎解きで、最後まで飽きさせませんでした。すばらしい!
(2022,06,20)
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