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営繕かるかや怪異譚
小野不由美



叔母から受け継いだ町家に一人暮らす祥子。
まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても開いている(「奥庭より」)。
古色蒼然とした武家屋敷。
同居する母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」(「屋根裏に」)。
ある雨の日、鈴の音と共に袋小路に佇んでいたのは、黒い和服の女。
あれも、いない人?(「雨の鈴」)。
人気絶頂の著者が存分に腕をふるった、じわじわくる恐怖。
極上のエンタテインメント小説。解説・宮部みゆき (裏表紙より)


昔大好きだったホラー小説ですが、実は最近、本当に怖くなってきてほとんど読まなくなりました。
でも、小野不由美さんのホラーと言うことで、ついつい手に取ったのですが、
あまりに怖かったらどうしようと、戦々恐々としながら読み始めました。
しかし、どの話も現象としては怖いですが、その解決法がソフトで、怪異現象を受け入れながら解決しようという姿勢が好ましく、読み終わってほのぼのと感じるものもありました。
6編の短編が収録されていて、ひとつひとつが重すぎず、その点も読みやすかったです。


〇奥庭より
いくら閉めてもいつのまにか開いてしまう襖。
部屋を隠すように置かれた箪笥。
いったい中に何があるのか・・・?
ーーこんな家には住めません・・・(T_T)

〇屋根裏に
年老いた母親が屋根裏に誰かいるという。
認知を心配した息子は、家をリフォームするが・・・。

〇雨の鈴
雨の降る日に限り、喪服を着た女性が現れる。
次の雨の日には、自分の家に来てしまう・・・。
ーー鈴の音が恐怖の前兆になるので、二倍怖かったです。営繕屋さん、様々(さまさま)ですね。

〇異形の人
家に見ず知らずの老人がいる!
それも彼女の前にしか現れず、いるはずのないところにいて、食べ物を食べた形跡が・・・。
ーー悲しい話でした(T_T)

〇潮満ちの井戸
庭を自分の思い通りに造り始めた夫。
しかし、徐々に庭の草木が枯れてくる・・・。
ーー海と繋がっている井戸。色々なことがあるのね。

〇檻の外
中古で買った車の調子が悪い。
おまけにシャッターも、突然閉まったり・・・。
ーー子供にとって、どんな親でも、親にかわりがないことが悲しいね・・・。 (2022,07,20)