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複数の時計
アガサ・クリスティ



秘書・タイプ引き受け所から派遣されたタイピストのシェイラは、依頼人の家に向かった。
無数に時計が置いてある奇妙な部屋で待っていると、
まもなく柱時計が三時を告げた。
その時、シェイラは恐ろしいものを発見した。
ソファの横に男性の惨死体が横たわっていたのだ・・・・
死体を囲むあまたの時計の謎に、ポアロが挑む。 (帯より)


ミステリー好きならワクワクするような題名がついてはいるのですが、なかなか読み終えることが出来ませんでした。

というのも、終盤近くまで、ハードキャッスル警部と、その仕事仲間のコリン・ラムが事件についての聞き取りと考察をするのですが、それがまたダラダラと長い!しかもそのことではなかなか事件解決に結びついてゆかないのです。
まあ、そこのひとつひとつの検証が事件解明への道すじになるわけで、この情報だけで、ポアロならば、ズバッと謎を解き明かしてしまうのでしょうが、凡人ではそうもゆかず・・・。
でも、メモの切れ端の謎は、すぐわかりましたよ、王道ですからね(^_^)。

そして、まさに終盤の終盤、ポアロが登場してからは、事もなげに色々な謎が続々と解決されてゆくのでした。そのあたりは、さすがポアロ!!
しかし、ポアロもずいぶん年を取ってしまい、やたらと理屈っぽくて・・・まぁ、元から理屈っぽい方なのですが・・・。中盤のポアロは、まるでクリスティの代弁者のようになり、ミステリー講釈が止まらない(^_^)。

こんな感じで、途中までなかなか読むペースがつかめなかった本ですが、最後まで読み進むと、さすがにクリスティと思える話に落ち着きました。でも、がっかりするような箇所もあったので、ちょっと複雑かな。 (2023,01,27)