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動く指
アガサ・クリスティ


傷痍軍人のバートンが療養のために妹とその村に居を構えてまもなく、
悪意と中傷に満ちた匿名の手紙が住民に無差別に届けられた。
陰口、噂話、疑心暗鬼が村全体を覆い、
やがて名士の夫人が服毒自殺を遂げた。
不気味な匿名の手紙の背後に隠された事件の真相とは?
ミス・マープルが若い二人の探偵指南役を務める。(裏表紙より)


ミス・マーブル登場長篇作の3冊目です。
とはいえ、今までで一番登場シーンが少なかったです。
最後にちょこっと出てきて、すんなりと謎解きをしてしまいました。
ですが、成る程、彼女でしか出来ない考え方、犯人の導き方だったのかもしれません。

本の中を占めるのは、ほとんど村の情景と人々の描写。
そのあたりが、ゆったりと描かれているので、頭の中で、村の様子がすんなりと構築されました。
こんな人たちの中に犯人が?!
とても意外でしたが、どんなところにも、自分の欲望を抑えられない人がいるというわけです。
悲しいことだけれど、その代わりに、新たな魅力を発揮する人もいて、後味はさわやかでした。

所で、この題名は謎です。
原題も「The Moving Finger」とそのまま。
読みながら何やら不気味な想像もしてしまいましたが、そんなシーンもなし。
色々調べると、Movingには、「不気味なことを引き起こす」。Fingerには、「密告する」という意味もあるとか。
そう考えると、そうなのか〜と思ったりしました。 (2023,06,09)