バートラム・ホテルにて
アガサ・クリスティ
大都会ロンドンの一画に、エドワード王朝時代そのままのたたずまいを保つバートラム・ホテル。 だが、その平和で静穏なムードの裏でも、事件の影はうごめいていたのだ。 常連客の牧師が謎めいた失踪をとげ、やがて霧の夜、恐るべき殺人事件が! ホテルで休暇を過ごしていたミス・マープルが暴く、驚愕の真実とは? 解説:佳多山大地
(裏表紙より)
ミス・マーブルが、子どもの頃に連れて行ってもらった、思い出深いホテルに、再び宿泊しているときに殺人事件が起こります。
そのホテルは、ザ・イギリス。ザ・ホテルという感じの、昔のまま(エドワード王朝時代そのまま)のホテルの景観と雰囲気を遺憾なく発揮していたのです。
ちょうど時代が変わっていく頃の話で、それは、とても珍しいことのようでした。
イギリスの古き良き時代と言われても、私には、とんと無縁で分からないのですが、それでも、本の中に書かれてある、ホテルの作り、従業員の立ち居振る舞い、そして提供される本物のマフィンとか、ポーチドエッグとか、濃い紅茶などなどには憧れてしまいますねぇ。
その、古いけれど、評判のいいホテルの近辺で起こった殺人事件。
そして、あちらこちらで起きていた強奪事件、それらがどのように関係し、それをどうやって解決していくのかが描かれています。
今回のミス・マーブルは、一人の穏やかな、よくそこらにいるようなありきたりな老婦人として登場。
その地域の警察にも知人はおらず、その言葉やひらめきは、なかなか理解されません。
そこがまた、いつもと違っていい感じでした。
殺人事件は、なんだか安易で、強奪事件の方は、真相がイマイチ詳しく書かれていなかったので、事件としては、あまりパッとしませんでしたが、古き良きイギリスの文化に触れられて、なんだかワクワクする小説でした。
(2023,11,12)
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