スリーピング・マーダー
アガサ・クリスティ
若妻グエンダはヴィクトリア朝風の家で新生活を始めた。 だが、奇妙なことに初めて見るはずの家の中に既視感を抱く。 ある日、観劇に行ったグエンダは、芝居の終幕近くの台詞を聞いて突如失神した。 彼女は家の中で殺人が行われた記憶をふいに思い出したというのだが・・・ ミス・マープルが、回想の中の殺人に挑む 解説:恩田陸
(裏表紙より)
とうとうミス・マーブルシリーズの最終話です。
この題名の意味は、読んでいるうちに分かってきました。
過去の出来事は、興味があっても、それを探ることが悪いこともある・・・ということは、若い頃には、分からないことなのかもしれません。
でも、本人にしてみれば、鬱々とした謎なわけで、そのままほっておくわけには、とうていいかないことでしょう。
ただ、それによって悲劇に見舞われた人が出てきたことは、なんとも残念なことでした。
すべてを見通しているようなミス・マーブルの言葉の端々には、重みがありました。
珍しく読んでいる途中で犯人に目星がついたのでうれしかったです。クリスティの最後のプレゼントでしょうか(^▽^)。
ミス・マーブルの最終話であるこの作品、執筆されたのは1943年。 クリスティが亡くなる33年も前。 なんと用意周到な方なのでしょう。 彼女もまた、人生何が起こるか分からないということを熟知していたのでしょう。
そのおかげで、ミス・マーブルが、前の作品よりも若返っていて、お庭の世話も出来るぐらい元気な姿でうれしかったりしました。
リュウマチで屈めないとか、晩年のポアロのような姿を目の当たりにするのは、やはり読者として辛いものですから。
さてこれで、ポアロもミス・マープルもトミーとタペンスもシリーズを読破したので、次は、ノンシリーズを読みましょうか。
アガサ・クリスティ様、たくさん作品を残してくれてありがとう!\(^o^)/
(2023,12,09)
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