バグダッドの秘密
アガサ・クリスティ
中村妙子 (訳)
おしゃべり好きが災いして会社をクビになったヴィクトリアは、 一目惚れした美青年を追いかけて一路バグダッドへ。 やっとのことで彼の勤め先を探しあて、タイプストとして潜り込んだものの、 とたんに不可解な事件に巻き込まれてしまった。 さらに犯人の魔手は彼女にものびて・・・ 中東を舞台に展開するスパイ・スリラー。解説:北原尚彦
(裏表紙より)
お調子者で、嘘が上手な女性が主人公です。
そう書くと、なんだかなぁと思いますが、反面、好奇心旺盛で、勇気があって、物怖じしない彼女の性格がこの冒険物語には、必要不可欠なのでした。
ストーリーは、最後にならないと、いったい何が起こっていたのかが分からないので、途中は、ただただ突飛な行動を続ける彼女と共に読み進んでゆきました。
とはいえ、彼女の行動は、犯人側の計画通りで、ここまでうまく行くか?!と驚くばかり。
というわけで、今までのクリスティの推理小説とは、趣が違って、面白さはあまり感じませんでした。
でも、これは、世界を股にかけるスパイの物語。最後まで読むと、彼女の卓越した想像力に驚かされます。
これは、時代を現代に置き換えても通じそうな話で、とりわけ、ヒロインの行動力は、むしろ現代にマッチしているような気さえする壮大な物語なのでした。
(2024,09,06)
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