今の鳥インフルエンザ問題は、日本の学校の鶏とは別問題です。 http://www.vets.ne.jp/~school/pets/
今、恐れられていることは人のウイルスが発生し、感染した人により日本に運ばれ流行することです。
人にウイルス病を感染させる一番の原因動物は、人間です。 すでに、国内の、しかもひっそりと少しづつ飼われている学校のニワトリたちの問題からは、全くはなれた事態になっています。
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●人の新型インフルエンザウイルスは日本ではなく、海外で生まれる
今、東南アジア・中国などで 鳥同志の感染が続いて、時々人にも感染しています。それで、世界がこの地域から新型インフルエンザが発生し、それが世界に拡散したときに、大流行と多くの犠牲者がでることになると恐れています。
学者は新型インフルエンザウイルスが、国内の鳥から発生することは 心配していません。つまり、日本では平成16年の流行期とは異なり、今は国内でのH5N1型鳥インフルエンザの発生がないからです。現在の国内の学校のニワトリへの警戒は意味のないことです。
もしも人の新型ウイルスが発生したら、もうニワトリの問題ではなく、病気の人がウイルスを運ぶことを警戒する訳で、すでに人の問題になっています。
また、元気なニワトリ自体が突然この病気になり、人に移すのではありません。必ず東南アジアや中国など?他の国からの、人や輸入品・輸入鳥を介した感染の原因があるわけです。 野鳥も感染経路として疑われていますが、日本ではまだ証明されていません。
茨城を中心とした低病原性鳥インフルエンザの発生は、国が禁止しているワクチンを畜主がこっそりうったのではないかと考えられています。財産である鶏を病気で失いたくないためだったと想像されます。
が、国はワクチンで抗体を持ったものも、すべて処分に決めています。
それは日本全体の養鶏業を守るために行われています。人への健康被害は心配していません。
●日本のニワトリから直接人に感染するか?
もともと病鳥からの直接的な人への感染は殆どないのですが、もしもニワトリたちに病気がうつったとしても、小学校では、ニワトリが過密に飼われてもおらず、外気が通う環境ですので、養鶏場のように狭い閉鎖鶏舎に人が入って、舞い上がる大量の糞を吸い込むこともありません。
それで、小学校などのニワトリたちが、人に健康被害を与えることは殆ど心配されていません。
東南アジアなどの人への感染例は、ワクチンなどで症状が見えなくなっている病鶏が沢山いる中で生活している人や、その病鳥を食べた人たちです。物理的にそのような鳥の腸内容(糞)を大量に吸い込んだり、口に入れてしまったと考えられています。肉やタマゴは大丈夫ですが、生きた病鳥を調理した際の腸管の処理や、まな板などの処置に問題があったのでしょう。
つまり 日本がそのような状態(病気の鳥が沢山いる中で人が生活し、あるいは、それぞれの家庭で生きた鳥を購入して、さばいて食べる習慣)にあるなら、鳥に警戒しなくてはなりませんが、現在は、国内にこのH5N1型鳥インフルエンザウイルスの発生もありません。
つまり、日本では学校の鶏たちを危険と考えている学者はいません。考える議題にものせていません。
農水省は国の養鶏産業を心配し、厚労省は、外国からの人の新型インフルエンザウイルスの波及を心配して、行動計画をたて、発信しています。
● この冬にインフルエンザにかかるかもしれないからといって、今健康な人を隔離しますか?
高病原性インフルエンザが発生していない日本で、鶏達を現時点で隔離することは、「今 病気ではない人を、この冬にインフルエンザにかかるだろうから、今から隔離しておく」と、同じことで、科学的な処置とは言えません。
●学校は地域に正しい知識を発信する場所
学校は 非科学的なことを子どもたちに発信するのではなく、しっかりした科学的な冷静な視点を養うようにしなければならないでしょう。
「保護者が文句を言ってきたので、鶏たちを排除する」とか、「将来危険があるから、今までこどもたちが可愛がってきた鳥を よそにやってしまう」などの、愛情もない、しかも非科学的な処置ではなく、「動物の病気について知識のある獣医師の支援を得て、愛情を大事にして、かつ科学的な処置」を子どもに見せて頂きたいと思っています。
学校は 教育の発信場所ですから、こどもたちに科学的な対応を伝えれば、その保護者が落ち着き、やがて地域全体が落ち着くでしょう。学校は地域のセンターです。 (文責 全国学校飼育動物獣医師連絡協議会主宰 中川美穂子)