教師から見た学校飼育動物についてのトラブル
詳しくは「学校飼育のすべて」に書きました。 平成13年1月調査 (分析、図作成:中川美穂子) 連携地区:
この3年以上、獣医師会と教育委員会の連携事業があり、活動に学校訪問している市の公立小学校旧保谷市、旧田無市、小平市、渋谷区、川越市、秦野市の106校(の内80校回答立75,5%)
非連携地区:
全く連携していない市の公立小学校中野区、立川市、国分寺市、小金井市、松戸市の116校の内83校(回答率72,6%)
「初等中等教育における生命尊重の心を育む実験観察や
飼育のあり方に関する調査研究」より
国立教育政策研究所平成13年3月、科研費研究
(課題番号11680202:代表研究者鳩貝太郎教育課程研究センター 総括研究官)
(以下:平成9年、北多摩獣医師管内6市での調査の結果と平成5年日本獣医畜産大学のシンポジウムのための全国調査の結果より)*飼育舎でのトラブル
*対応法
- 飼育頭数が多すぎる
- 特にウサギが増えすぎる
- 血を見るほどの喧嘩をする(ウサギ ニワトリ モルモット、ハムスターなど)
- 鶏の鳴声がうるさい・・
- 飼育舎の清掃が大変(汚れが酷い)・・
- 休日の場合世話が行き届かない・・
- 児童と疎遠になりがち・・
飼育舎を児童の身近に設置しましょう。本来は教室での飼育が良いでしょう。
教室内にハムスターが1匹いるだけで学級崩壊を防げるかも知れません。- 糞の捨て場に困る
- 死体の処置に困る
教室内での身近な飼育
- 地域獣医師の助けを利用する。
- 少ない動物を飼いやすい飼育舎で丁寧に飼う。
- 安全な動物を確かなところから入手する。
- 掃除を毎日して、きれいに飼う。
- 簡単な飼育を工夫し、動物と子供がふれあって遊ぶゆとりを確保する。
- 動物を増やさない。
- 飼育舎での対応 ・・・動物の生活の場と考えて、少ない動物を、きれいにゆったりとかう。飼育舎を児童の身近に設置する。
平成12年、岡山大学の下村先生が行った調査では上記のごとく、中川が平成5年に行った調査、また、その後全国の獣医師会が行った調査の結果と殆ど同じ 結果がえられましたが、他に「殆どの学校は、先生方は飼育の様々な問題を指摘するが、飼育はうまくいっていると答えた」と報告しています。
- 利点が多い・・本当の意味での飼育を経験できる。
- 児童の気持ちがまとまり、学級運営が楽になる。皆の優しさを動物が引き出す。
- 児童が辛い事が有ると、動物を抱いてじっとしているなど、癒しになっている。
- 身近に居るので より親密になれる 楽しみが多い
- 世話が行き届く
- 休日には 家に連れ帰れる
- ミニペットで良く、世話が楽
- 問題点として
- アレルギー 衛生面の心配 臭気 騒音
(しかし、欠点より利点の方が多いと、既に飼っている先生方は、動物を排除しません。)
アレルギーについては、掲示板を見て下さい
つまり、様々な問題をかかえたまま、飼育していても問題はない、と考えていると思われます。動物は問題の末に死ぬ事があっても、それで良しとしていると 思われます。下村先生も、この考えが「大きな問題をはらんでいる」と指摘しています。
なお、大学生への調査では「飼育舎の印象」は、臭くて汚い、と言うのが、最多を占めています。
「学校飼育動物と生命尊重の指導」参照のこと
子どもの目の前で行われる飼育ですから、動物の犠牲は仕方の無い事とせず、保護すべき存在として指導者が動物を大事に扱って見せてこそ「教育」と言えま す。そして、命を最後まで大事にして、友に過ごす喜びや、死なれた時の悲しみを先生と子どもが共有する事が大事です。
その意味では、レンタル動物飼育や動物園訪問で動物体験では、とても子どもの心を耕せないと言えます。ビデオ「学校飼 育動物と児童」に獣医師の関わる学校での、教室内飼育と飼育舎での飼育の例が入っています。児童は楽しむ飼育をして動物を可愛がり。、教師が感動 を持って、児童の心の成長にやくに立っている動物と児童の様子を示します。