獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201011-16

Re3:うさぎの腎臓病予防について
投稿日 2010年11月15日(月)22時14分 投稿者 チーママ

数値の如何は、獣医さんでなくあくまでも一飼い主でありますので、なんともお返事のしようがありませんが。

もしうちのウサギがそうだった場合、どう考えるかといえば。
確かに私も、以前は何かといえば数値に左右される方でした。
年に一回は血液検査をして、健康状態時の数値をつかもうとしました。
しかし「その子の普通」「病院にある機器にも癖がある」「どのラインで治療が必要と考えるかは、獣医師による。またその根拠は、獣医師の経験則によるものも大きい」ということに思い至り、今ではあまり数値にこだわらなくなりました。
また「少しでも基準値からずれているものがあるなら、早めの治療で健康を維持したい」とも思っていましたが、個々の体質の違いを考えると「何を基準とすべきか?」と考えるようになり、本にある数値は参考にとどめるようになりました。もちろん明らかに病気であるという場合は別ですが。

たとえて言えば「ネザーランドの体重は1〜1.3kgです」となっていても、体のつくりの大きい子がその体重を目指したら、当然やせすぎです。
「餌は体重の5%」なんて書いてあっても、省エネで少量の餌で元気に維持出来る子もいれば、大量消費で体重維持をする子もいます。第一理想体重より多少太めのほうが、毛つやも良く元気という子だっています。
個体差を意識しないで、数字だけにとらわれると、大変お世話がつらくなりますね。
体の数字のことを言えば、人間でも家族性というものがあって、我が家は家族性高コレステロール血症。つまり標準より多少高めのコレステロール値が普通タチなのです。
これを知らずして検査したら、医師によっては「治療を始めましょう」ということになるかも?
ということで、数値はいろいろな判断を下すには大変重要ですが、それがすべてととらわれるのはいかがかな?と思っています。

で、大きな病気が見つかった場合、まずはインフォームドコンセントですね。
そしてきちんと根拠が示されれば、自分なりにも病気について調べます。
必要と思われれば、セカンドオピニオンもいといません。
そして最終的に、どの先生のアプローチにするか選ぶこともあります。
ただし、どんな結果になっても最終的には飼い主の責任に帰しますが。

さて、お尋ねのかかりつけの獣医さんは、それなりのお考えがあって「この数値なら治療が必要」と判断なさっているのだと思います。
数値的には「腎不全」とまでいえるものなのかは???と感じるところでもありますが、少なくとも腎臓に負担がかかっており、そのままだと悪化する様子があり、一度だめになった部分は回復しないこともあり、治療は早いうちとお考えなのだと思います。
そして飼い主さんに説明するには、端的に腎不全と説明した方が分かりやすいとお考えだったのかもしれませんね。

また水分に関しては、訂正しておきますね。
腎臓病というのはいろいろな種類と、それぞれの病状の段階があり、ある段階においては水分を積極的に取らせる、あるケースでは水分制限をする、ある段階においては水分摂取のコントロールなし、と一言で言えるものではありません。
腎臓は体の水分量をコントロールする臓器ですから、その状態によって脱水傾向にあるなら水分をとらせるでしょうし、反対に機能低下で水分の排出が出来ずにむくみが起こるようなら制限します。 
ですから「腎不全=水分をとらせる」という単純な図式は、経験者として?ではありますが、ないこともないわけです。
何しろ腎臓病というのは大変複雑ですから、一度下記のサイトを見てみると納得できることもあると思いますよ。
http://plaza.umin.ac.jp/~kidney/kidney_disease.html

これだけ複雑で、病態により対処法も真逆の場合もありますので、人間の医療現場においては確定診断を出すのに慎重になります。血液検査だけでなく、尿検査や尿量のチェックなども重要で、最終的には腎生検です。 
果たしてそれをウサギさんに出来るかといえば、残念ながら現段階ではそこまでは出来ないでしょうから、あとは獣医さんの知識や経験による部分が多くなります。
それが、先生によりアプローチや判断が違ってくる原因かと思います。

中にはこの数値なら経過観察で、確かに負担はかかってはいるがこの状態で維持できるなら、あえてウサギさんや飼い主に負担をかけることはないだろうという先生もおられるでしょう。ただし「おしっこの量が減ったり、だるそうにしたり、試薬でタンパクや潜血が出るようならすぐに来て」という指示を出す気がしますけれど。

ドクターショッピング(飼い主の考えどおりの答えをしてくれる獣医師を探す)はいけませんが、何名かの獣医師を見つけておくのは大事なことだと思っています。
いまだウサギなどのエキゾチックに関しては、誰でも診れるというわけではありませんので、それは飼い主の義務だと思います。

またおまけの話ですが、前述の試薬「ウリエースKC」は処方箋薬局で売っているもので、これはもうウサ飼いさんは持っていて欲しい。
ご存知のようにウサギの尿の色は様々。赤いから血尿とあわてることは、うさ飼いさんなら経験あるはず。試薬を持っていれば、それが本当に血尿なのかが分かります。
もし潜血反応が出たなら、膀胱炎か子宮系の病気を疑います。
同時にタンパク反応が出ているなら、腎臓病を疑います。
反応も±〜+++までありますから、病状の変化も追えるわけです。
当然+が増えるほど、腎臓機能が落ちているということです。
これがあったら、じゅりあさんも日々病状が追えて、気が楽になったかもしれませんね。

話があちらこちらへと飛んで、はたしてじゅりあさんのお聞きになりたかったことのお返事になっているかどうか、大変心もとないですが、どうか気持ち新たにまたウサギさんをお迎えしてあげてください。 うさぎさんは、年を重ねるほどに賢くなり、興味の尽きない動物ですからね。

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