意見交換掲示板過去発言No.0000-201105-19
Re:猫の突然死について |
投稿日 2011年5月6日(金)13時13分 投稿者 プロキオン
まずは、お悔み申し上げます。 実際にそのような事態に遭遇されたのであれば、さぞや驚かれたと思います。 猫とかウサギとかの診療中の突然死というのは、実際にありまして、一見何でもないように見えた個体が突然虚脱状態に陥ってしまい、そのまま蘇生しなかったというケースはあるように思います。 猫の場合ですと、激しい運動をした後、口を開いてハアハアやっていることがよく見受けられますが、猫自身が自分で休憩するから良いのですが、もし仮に強制的に運動を続けさせれば、心肺停止に至ってしまうことになるはずです。瞬発力はあっても持久力に欠けているところがありますから、激しい運動の継続は健康な猫にとっても決して望ましいことではありません。 これが病気の場合ですと、猫には「滲出性胸膜炎」という病気がありまして、よくよく見るとお腹で呼吸しているということがあります。この病気の猫においては、事前に酸素吸入を施してから診察するようにしないと、いきなりその場で突然死してしまうことが知られています。酸素吸入をさせようとして猫を抱えようとしたその時に、引付をおこしたようになって、そのまま死亡してしまうことすらあります。そのくらい極端な死に方をします。 小鳥の診療でも、うかつに小鳥に触れるなということを戒めている著書は多いです。そのくらい、酸欠状態に陥っている動物の取り扱いには慎重を要します。 今回のとらだいさんの猫のケースでは、事前にどのような状態であったのかが分かっておりませんので、これらとは同一視できませんが、やはり心臓や肺に負荷がかかっていたのではないかと想像されます。 何故、どのような、どの程度のということになりますと、分かりかねます。原因究明ということになれば、病理解剖の必要があると思われます。 トリミングの最中に突然倒れてというケースで私の病院でも例となりますと、フィラリアの犬の例が1頭ありました。 トリミング中に急にぐずぐずんとして倒れてしまったということで、運ばれてきましたが、その時には心臓が停止していました。ただ、途中の車内で止まったようで、それも直前だったようでして、一旦は心臓が動き始めましたが、またすぐに心停止に至りました。 おそらくフィラリアによる大静脈症候群のひとつの形だったのではないかと想像しています。 その時のトリミングサロンの対応は、あまりいただけたものではなく、「自分のところには責任はない、助けられなかったのは病院だ。」というような感じでした。逆に言えば、まったく予測していなかった出来事ということになるのでしょう。 こちらのケースにおいても、飼い主さんは何がなんだかわからないという感じでした。しかもフィラリア予防薬を投薬されていたそうですので、なおのことでした。今朝、シャンプーカットに出す時までは元気だったのにというのが精一杯でした。でも、血液を見てみれば、フィラリアがちゃんといるのです。薬がどのようなものであったのか、どのような投薬が為されていたのかということになりそうです。そのあたりを突き詰めても、飼い主さんが気の毒で、どこの病院にかかっていたのかは、尋ねませんでした。 シャンプーやカットは、対象となる動物にとっては、けっこうな負担となるようですので、心肺に問題を抱えていると、思わぬ事態につながるのかもしれません。死亡に至っているのですから、原因としては何かがあったのだとは思いますが。
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