意見交換掲示板過去発言No.0000-201108-7
Re:保健所について |
投稿日 2011年8月15日(月)11時32分 投稿者 プロキオン
保健所の仕事というのは、色々あるのですが、まずは人間を対象とした業務であると考えて下さい。犬に関わる業務は、人間の地域や社会生活に関わる中のものという位置づけであって、ごく限定的なものですし、猫に関しては、対応する根拠となる法令も整備されていません。簡単に言いますと、その辺りをうろついている猫を野良猫と判断する根拠を与えられておらず、かつ、捕獲する権限も無いということになります。 保健所の業務というのは、いくつかの課に分けられていますが、私の県では以下のようになっています。 1、保健指導課:これは保健婦さん達が実務することが多いのですが、市町村等の担当者と相談しながら、家庭を巡回したり、医療機関との連携をとったりします。細かい配慮や人手が必要な部門です。昨今は、未就学児童の問題の相談が増えています。 2、地域保健課:この担当者は、さまざまな部門の職種の人達がいます。レントゲン技師・臨床検査技師・栄養士等が在籍していて、保健所が実施ている各種検査や健康診断の実施を担当しているだけでなく、水や大気の監視、美理容業、旅館業やクリーニング業等の許認可等も受け持っています。 ここの担当は、エイズ検査から山小屋の監視、水や大気の検査とその対応まで、非常に幅広い範囲となっています。 3、衛生課:主たる業務は、食品衛生です。通常は、食品製造業や末端の販売店の許認可や飲食店の許認可や監視等となりますが、医療機関や薬局薬店の監視とか野菜や魚の市場監視も受け持っています。薬剤師や検査技師、そして水産技師や畜産技師も在籍しています。こちらは食品生産の知識を活用してもらうためです。このような資格の一端として「獣医師」の資格をもっている者も「食品衛生監視員」として籍を置いているわけであって、犬に関わる部門は、獣医師職員が兼務するという形になっています。 昨今の獣医大学生の公務員への志望率が低下している現状ですと、獣医師職員が補充できないということもあって、他の職種の方が兼務されるということもあります。 4、庶務課:ここの説明は省略します。 また、社会における一般的な獣医師の仕事というのも、極めて多岐にわたっており、日本獣医師会では、6つの項目に大別しています。 農林水産分野、公衆衛生分野(保健所はここに入る)、小動物臨床分野(街の動物病院)、野生動物分野、研究・海外協力分野、動物愛護・社会福祉分野、の6部門です。獣医科大学の卒業生の進路先としては、このようになりますが、先の2つが大きなものです。 各分野とも専門性が求められる業務内容ですので、これらを横断的に経験するという者は少なく、獣医師の資格を有していれば、手術ができるということではありません。それぞれの職種に就いてから、現場で専門的な知識や技術を先輩から指導されながら、学んでいくということになります。 また、私もTNRには、問題点があると考えています。もともとが、猫は各家庭で飼育していただくことが望ましいわけであって、野良猫は繁殖しなければ野良猫のままでよいとは言えないのでないでしょうか? 猫が徘徊しているということは、排泄物の問題は残されている事になりますし、また、あそこの公園へ捨ててくれば・置いてくれば、猫達の面倒をみてくれる、避妊も去勢もしてくれるという事になりますと、「一代限りの生」をまっとうして逐次猫の数が減少していくということに繋がらなくなってしまいます。 その地域にも、世話をしている人間にも自ずとキャパシティがあって、それを超えてしまえば、やはり社会問題となりかねません。どこでやっているということが知れ渡ることで、逆の結果に向かっていきかねないというのも、皮肉なことだと思います。 保健所経由で愛護センターで処分される猫のほとんどは、家庭で繁殖された子猫が中心です。まずは、一人ひとりの飼い主が避妊去勢をしっかりと実施することであって、野良猫も飼い猫になってもらうということを考えていかないとならないと思います。 雄雌に限らず、今、猫を飼育している人の考えを改めていただくことに、ひじょうに大きな意義があるのではないでしょうか。
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