災害と動物掲示板過去発言No.0700-201104-23
獣医師は放射線を取り扱うことができるか? |
投稿日 2011年4月4日(月)12時20分 投稿者 プロキオン
普通に考えれば一般的な街の診療獣医師は放射線や放射性同位元素を取り扱う事はできません。 自らの診療に放射線を使用することを考えて、その分野の勉強をして「放射性同位元素取り扱い主任者」の免許資格を取得した者に限られます。 どの動物病院においても、レントゲンが設置されているではないのか、レントゲンは放射線ではないのかという疑問を持たれると思いますが、答えは、レントゲンは放射線ではないということになります。 もちろん、一般的には放射線の一種と考えて良いのですが、「放射線障害防止法」に定められた放射線の定義から、100万電子ボルト以下のエネルギーのX線は、この法律の規定するさまざまな障害防止策を施す必要がないとされています。ひらたく言ってしまうと携帯電話やテレビから放出される電磁波と同じ扱いです。 まあ、そのような扱いとなりますので、動物病院においてあるレントゲン撮影装置は、放射線管理の制約を受けることも無く、特別な勉強をすることなく、使用することができていたわけです。 しかし、いつまでもそれで良いというわけにもいかず、20年位前から「放射線障害防止法」ではなく、「獣医医療法」にその管理を定めると事となりました。 でも、やはり、その経緯からして、放射線を取り扱うに足る知識と経験を有しているかと言うと、充分であるとはいえないように思います。 鳥インフルエンザでも、カエルツボカビ病でも、街の動物病院に疑わしい症例を持ち込まれて、その病院があらたな感染を広げてしまわないようにと、基幹病院を定めてそちらで対応するようにというシステムがあります。 私は、放射性同位元素についても、これらと同様の対応をとる必要があるのではないかと思います。たしかに、放射性同位元素は感染症ではありません、同じ扱いとするのはおかしな話しです。私自身も広報板カフェの方に、感染症ではないと書いています。 けれども、測定器の無い病院では、安全かそうでないのかも判断がつきませんし、どのように対処したらよいのかのノウハウがありません。やはり、現実的には、基幹病院で汚染のレベルを判断してもらって、そのレベルに応じて、処置の指示とともに一般の動物病院に転院してくることがより安心できると思います。その方が飼い主にとっても安心できますし、獣医師にとっても統一された処置がとれるのではないかと思います。 「復興の兆しが見えない街…」の中で、私は、まず原発周辺の自治体に放射線取り扱い主任者を派遣して、初歩的な受け答えが出来る必要性を述べていますし、そうして住民の不安を取り除いて欲しいという主旨の発言をしています。 その意見が届いている様子はありませんが、まずは、人間、それから動物にも力を貸して欲しいと考えています。
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