災害と動物掲示板過去発言No.0700-201107-11
一昨日のNHKスペシャルで |
投稿日 2011年6月7日(火)11時59分 投稿者 プロキオン
6月5日のNHKスペシャルで、原発の事故災害が何故かくも深刻な事態に至ったのかの検証を扱った内容が放送されていました。 私が印象に残ったくだりが、菅総理大臣が当事者達に対して、不信に至った経緯の説明でした。東京電力はもとより、原子力保安院も安全委員会も誰も、今後どのような事がおきるかを口にしなかった、総理が尋ねても返答が返ってこなかったという点でした。 関係者が誰も答えようとしなかったので、総理の個人的な関係から人を招いて参与にして、起こりえる事態の説明を求めた。そうこうしているうちに、何も危険を知らされていない自衛隊員の傍で水素爆発が起きてしまった。 水素爆発の後、発電所所長から「今までありがとう。今からここを去る者がいても止めない」という発言があり、東京電力本社からも5回ほどの撤退の申し出が官邸にあり、総理が未明に東電本社に乗り込んでいって、どなりつけたらしく、関係はさらに悪化したとのこと。 では、この後東京電力本社に情報を一元化するための本部を置いたにも関わらず、情報が迅速に公表されたのかとなると、否という感じしかありません。それほど、深刻だったということになるのでしょうか。 放射性物質は、福島県内に留まらず、関東南部にまで飛来しており、農産物に被害を及ぼしています。魚業被害も甚大なものとなってしまっています。爆発的な拡散というのは、おさまっていますが、原子炉が損傷しているので、放射性物質の放出は続いています。 原子炉を修理したくても、「放射線防護服」と称している物は、「放射能(放射性物質)防護服」であって、実際には放射線の防護機能は有していません、だから、高放射線レベルの原子炉に周囲には人間は容易には近づくことができません。 だから、いつ放射性物質の放出を止める事ができるのかの目途はついていません。 また、警戒地域や避難地域以外にも、高濃度の汚染地域があると官房長官が、認めてしまいました。 広島・長崎、そしてチェルノブイリ等に例によれば、10年・20年・30年経過するとそれぞれの経過時間によって発生してくる疾病が相違が見られると報告されています。 鳩レースにいささかなりとも興味を持っている者であれば、「浜通り、中通り」の呼び名は知っているはずです。放射性物質の拡散分布図を見れば、その地図の中にくっきりと阿武隈山地の存在が浮かび上がってきます。 素人が予測できるような大雑把な事であれば、直接には役には立たないし、危険回避のための具体的な情報は知らされないままでいます。 私の病院にも被災地の動物の診療に関わる費用の請求書の様式と手続きの説明書は、ずいぶんに前に届いています。これは日本獣医師会経由で緊急災害時動物救援本部から、一口いくらというようにまとまった金額で支給されるものです。(このような場合ですので、請求額は、実費計算でということになっています) 赤十字経由の義援金も、被災地の自治体が機能不全に陥ってしまっているために、今朝の段階でも15%程度しか被災者のもとへ届いていないそうです。これは罹災証明書の発行と被災者が現地を離れてしまっていることにも由来しています。 被災地の動物達も、行方不明になってしまっていたり、本当に被災地の動物なのかという確認問題がついてまわることになり、人間と同じ問題が出てくる事になりそうです。被災者が一緒に他県に避難している動物達であれば、確認も容易なのですが。 と、同時に個体確認のためにマイクロチップの挿入も同時に推奨されています。費用や登録料金は獣医師会負担の計画となっているようですが、こちらもおそらく救援本部も承知している話だと考えられます。 動物医療も提供できる話にはなっていますが、その前段階でさまざまな問題が生じてしまっていて、事がスムースに運ばない現実があります。私は、その点がとても残念な事に思えるのです。 人間ですら、そうなのだからというのは、分かっていますが、もう少しどうにかならなかったのかという気持ちがあります。
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