(子供達が動物を可愛いと思ってこそ、飼育の意義が生まれます。)
教室で動物を飼うと子供達の様子が落ち着き、教室の雰囲気が優しくなるなど、とても良い影響があることは、どの生活科の先生方も良く理解
していらっしゃいます。でも、諸般の事情でなかなか飼うわけにはいかないようです。
しかし、青少年が酷くあれているのは、幼児期からの体験が多いに関係しているのは、皆さんの言われる所です。
子供達にとって良い影響があるとわかっているならば、是非教室で抱ける動物を子身近に置き、子供達に様々な嬉しい、辛い思いをさせる環境を与えていただ
きたいと思います。本来はこれは親の役目だと思いますが、親御さんにはいろいろあり、子どもために動物を飼って呉れない場合が多いのではないでしょうか。
文部省の視学官で生活科担当教科調査官の方も、「僕はね、子どもから動物を隔絶するのは、考えられない」とおっしゃってます。
都内のある小学校であった事ですが、ツッパリでクラスの困りものだった6年生が、クラスのハムスターが死んだとき慟哭し、初めて先生方も この子の心の内を理解できたそうです。先生方は親御さんに小さなをペット飼って上げるように説得しましたが、そのような面倒を子どものためにしてあげられ る親御さんの事情ではなかったそうです。その子やクラスの子供たちは、卒業後もそのハムスターのお墓をお参りにきました。先生によれば、クラスの仲間と共 通の思いを抱いて、その子も少し落ち着いて見えたとのことでした。
大変でも、是非ハムスターやモルモットなどの小動物をクラスで飼ってあげてほしいと思います。その為に獣医師も各地で支援しております。 また、先生方は、父母の皆さんにも応援を求めていただきたいと思います。このほど日本PTA全国協議会の地域と学校の融合にかんして書かせていただきまし たが、先生と父母、地域で「動物と子どもと切り離してはいけない」と、話し合い、学校での飼育を支援してもらうように考えていただけたらと思います。
なお、「子どもはかわいい動物の健康、気持ちに気を配って接する内に、自分を誇らしく思うようになり、自己を大事にするよう になる」と、欧米の学会で発表されています。また、小さな弱い動物に対し、蹴飛ばしたり、傷つけたりする子どもは、ストレスを抱えており、早い段階でのケ アーが必要だと、言われてきています。アメリカのFBIが 婦女暴行殺人を繰り返す兇ような悪犯の75%は、その青少年期に動物を傷つける虐待を経験して いると、昨年発表しました。
動物を身近に置いて、その接し方をみるだけで子どもの心がわかるとも言えるのです。問題が発見できれば、直ぐに皆で対処を考えられます。
私達は、大事な子供達を心豊かに育て、未来を託さなければなりません。
学業(教科)は勿論大事ですが、子どものなにより大事な情愛のある心を育てるために、先生方に、諸般の事情を押してでも、是非実体験の一 つとして動物も役立てていただきたいと、私達、獣医師は切望しております。
「先生方へ「動物を心配する子供の心を大切に」
教室に1匹のハムスターがいるだけで、子供たちの雰囲気が和やかになりクラス運営が楽にできるようになるとの報告を、多くの教師から聞
く。東京のある小学校では、増えすぎてしまったハムスターを各教室に分けて飼っている内に、子供たちは和気あいあいとなったとのことだった。死んだクラス
のペットのことで「思い出を有難う」との紙芝居を作った子もあり、それを「これ、可哀想なんだ」と学校中のクラスで鑑賞しているそうだ。
そこの校長先生によれば「当校には色々な事情の子供たちが通っているが、何も問題が無いのはクラスのペットたちのお陰と、それを支えている担任の先生方の
お陰と感謝している」とのことだった。
動物には、誰をも傷つけずに、周りの人々の関係を修復する力があるといわれ、また、人の心を安らかにし開かせるとも言われている。この結果を踏まえて精
神科では、時折ペットを活用して治療が行われる。
また生理的には、穏やかな動物は人の血圧を下げる力があり、その結果心臓病の人たちの生存率を高めていたとの報告もされている。最近行われている老人
ホームでのペット飼育や小児科病棟へのイヌの慰問訪問活動なども、人々を元気にさせる動物の力を証明している。
このように子供の心に直接入り込み仲良くなれる動物たちなので、もしも、動物が傷ついたり元気が無くなったりすれば、子供は直ぐに気付き
心配し、助けを訴えてくるだろう。
子供にとってのペットとは、親にとっての子供と同じ位の意味がある。先生方としては、どんなに忙しくても手当ての必要な動物を放置せず、治療が必要なら病
院にかけて欲しい。それが子供の心を大事にすることなのだから。」
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