意見交換掲示板過去発言No.0000-199903-125
動物用のフードについて |
投稿日 1999年3月26日(金)12時46分 プロキオン
犬猫に限らず動物用の餌は随分と色々な銘柄が出ていますよね。 ニンニク添加の餌で発育成績があがるという文献は、私は目にしたこと がありません。でも 捜せばあるはずです。こういう試験は必ずどこか の大学で委託を受けているはずですから。 #大抵は食品や栄養系の大学です。 その結果も大抵は効果があったとなっているのではないでしょうか。 だいたい6週間から半年くらいの範囲で投与試験をするのが通例なので はないかと思います。 では、本当に効果があるかというと別問題です。データの取り扱い方次第 で評価も異なってくるように受けとめています。 これは私の推測ですが、家畜の育成期の飼料に抗生物質が添加されている のと同じようなことを期待しているのではないでしょうか? ムクムク先生に同じく、わざわざ、餌に混ぜる必要性はないように思いま す。 以前、猫がキャットフードを食べなくなった何か問題があるのではという 相談があり、調べてみたら使用されている油の酸化がすすんでいたという 事例もあり、91年に「ペットフードの表示に関する公正競争規約」が 制定されたのを機に表示内容と成分を埼玉県の消費生活センターがテスト したことがあります。 結果は国民生活センター発行の本に譲りますが、 簡単に説明すると、含有エネルギー量は各銘柄に大きな差はなかったが、 塩分は基準値の10分の1から5倍までひらきがあったそうです。 また、合成着色料やビタミン剤の添加もかなり検出されています。 ビタミン剤なら添加しても問題ないと考えられる方もいると思いますが、 これが「汎骨炎」や「異栄養性骨症」の原因になることを獣医師は知って います。獣医師でなくても国民生活センターでは、猫のビタミンD過剰症 との関連を指摘していました。 北海道消費者生活センターのテストでは、原料不明なジャーキーがありま した。ゲル内沈降反応によって原料の肉が牛・羊・豚・馬・トリのどれな のかを調べたのですが、いずれにも該当しない製品が10品目中3品目あ りました。実際に肉を原料として使用していないのではなく、原料の肉が 古かったため、アミノ酸の組成が変化してしまい反応しなくなったのであ ろうというのが、その考察でした。これらの肉は保存料によって製品の形 態を保っており実際に流通にのっている商品でした。 ジャーキーを主食として勧める獣医師はあまりいないと思いますが、それ でもテレビのコマーシャルでは推薦している先生も目にします。 先にあげた基準値も何も法律で定めてあるわけではありません。業界の自 主基準値なのです。 動物の餌というのは成長産業ですから、いろいろな業者が参入しています。 まず、自社の製品が売れなければ話になりませんがから、いろいろな工夫 もしますし、宣伝文句もいろいろ出てくるはずです。 塩分もビタミン剤も着色料もニンニクも販売するための工夫の1つなのだ と私は考えています。 私の病院でも、給与すると必ず下痢を引き起こす猫の餌を経験しました。 それでも食べ続ける猫はいます。フードの表面にどのような成分が吹き付 けてあって、猫の食欲を誘っているのか知りたいところですが、それこそ 企業秘密でしょうね。 「どこの餌がよいですか?」と飼い主さんに尋ねられた時が1番困ります。 全てのフードを試すこともできないし、自ら選択していただくよりないと 考えています。 メーカーは、動物の健康を損ねようとしてフードを製造しているわけでは ありません。しかし、他社よりも少しでも売れるように工夫しています。 その結果が引き起こす事全てをメーカーが予想しているわけではありませ ん。飼育している動物に何を与えるかは、飼い主さんが自らの責任で選択 するしかないのではないでしょうか。 相談を受けた場合は、不審を感じているフードを勧めるということはあり ませんが。 |
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