獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199905-212

ウサギの皮膚糸状菌、補足
投稿日 1999年5月20日(木)12時03分 プロキオン

よっっさんへ
少し補足します。糸状菌のコロニー形成が認められるのは培地に
培養した場合です。原因菌が糸状菌であることを確認する手段と
して実施します。
皮膚における病変は、まず脱毛から始まり、厚い乾燥したカサブ
タやフケ状物が大量に見られ、ガサガサした皮膚になります。皮
膚そのものにおいてはコロニーの形成はありません。
病変部をこするので、前足にも病巣が形成されることも多くあり
ます。臨床上はこのような点がポイントになります。

常在菌としてのMicrosporumは本来は被毛の皮質にい
ますが、疾病の際は皮膚の角化層からより下層に菌糸を伸ばして
成長していきます。この刺激のためにカサブタやフケができるわ
けです。糸状菌は常在して常に皮膚内への侵入の機会を伺ってい
るのですが、健康な皮膚はそれを簡単には許さないのです。
故に皮膚糸状菌症は免疫状態が低下した状態の疾病とも言えるの
です。先にあげた原因以外にも栄養状態・ストレス・そして不適
切な薬の使用なども要因となります。

余談ですが、我々獣医師をはじめとして薬剤を扱う者は不適切な
薬剤の使用あるいは乱用の戒めとして「真菌症」を常に引き合い
に出されて注意を喚起されています。

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