獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200101-106

kyojiさんへ
投稿日 2001年1月13日(土)01時39分 パールちゃん

犬飼いのパールです。

うちにもフィラリアに罹患した犬(オス・現在8歳)がいますが、
投薬によるミクロフィラリア駆虫を2年前にしました。
親虫はまだ体内に残っているかもしれません。(未確認)
その子は今でも慢性的に貧血気味なほかは咳・呼吸困難・心臓の動悸などの
症状はありません。元気に暮らしています。
kyojiさんの犬は何か症状は出ていますか?

投薬による駆虫には子虫だけを殺すものと親虫も同時に殺すものと
二通りの考え方があります。
どちらにも当然副作用があります。
体力・年齢・子虫の多さ少なさ・親虫の多さ少なさ・寄生場所などを
できるだけ考慮して投薬するかどうかを決める必要があります。
また、薬自体の副作用のほかに、死んだ虫があとになって血管に詰まる
予後のことも考えなければなりません。
我が家の場合は投薬後1週間は安静、投薬後1ヶ月間は排泄のため以外の運動禁止で乗り切りました。
その後は毎月のフィラリア予防薬を普通の犬と同じように飲ませています。

薬以外の解決策には、手術で親虫を取り出す方法があります。
喉のところを切開して血管に管を入れ、親虫をつまみ出します。
これは親虫の寄生場所によってはできない場合もある手術です。
獣医さんの話では、技術的にはけしてむずかしい手術ではないが、
思わぬアクシデント(血管が破れるなど)の点でリスクの高いものだとのことです。

昨年秋に亡くなった我が家のもう1匹のフィラリア罹患犬は、
うちに迷いこんできたとき、すでに激しい咳をする状態でした。
その子はすぐに手術をして2匹の親虫を取り出しました。
たった2匹でも寄生場所が肺動脈だったので、もだえ苦しむような咳をしていたのです。
手術は成功し、冬の朝などに咳をする後遺症は残りましたが、
それから8年元気に生きてフィラリアではない理由で逝きました。

1匹は手術で、1匹は投薬で、うちの子は助かりました。
いずれも、そのままにしておいたらどうなるのか、今できることはなんなのか、
それにはどのくらいの生命のリスクがあるのかを獣医さんと充分に話し合った結果です。

フィラリアが悪化すると犬はとても苦しみます。
そうなる前に天寿をまっとうする犬もいるわけで、
今何をすべきかは総合的な点からかかりつけの獣医さんとよく話し合ってくださいね。

ちなみにすぐにでも家庭でできることとしては、
体力を維持する、ドロドロ血になるような食事は避ける、激しい運動は控える、
血流をよくするために寒さ対策をする、などです。



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