意見交換掲示板過去発言No.0000-200104-25
信頼関係ないしインフォームド・コンセント |
投稿日 2001年4月4日(水)00時48分 はたの
関係性から言えば、ある動物の治療という対象について、飼い主が獣医師を雇っている、と考えることができます。依頼人と弁護士、スポーツ選手とその個人コーチ、などと同様に。また、国王なり大統領なりの国主と、軍の司令長官になぞらえることもできましょう。 いずれも「専門家が雇われている」のです。 専門家はその専門分野について、専門的な見識を生かして依頼人に情報を提供し、助言しなくてはなりません。ただし、専門家でない依頼人に問題の本質がわかるように。軍のたとえでいうなら国主が知りたいのは勝てるか負けるか、どのぐらいの被害が予想されるか等の本質であって、細かな作戦計画ではない、ということです。また専門家に、戦不戦の決断を下す権限はない、ということでもあります。 専門家からの情報や助言に基づいて、依頼人が「決断」します。 それ以後は、専門家は最善を尽くせばよく、また依頼人が専門的・技術的な問題などに口出ししてはうまくない、わけです。 インフォームド・コンセントとはそのようなものだと考えています。依頼人に必要なのは「専門家並みの専門知識」ではなく、「信頼できる専門家を見つける能力」なり、「現在依頼している専門家が信頼に値するかを見抜く人物鑑定眼」でしょう(専門家に好かれるかは別として、依頼人側に専門知識があってはいけないってこともありませんが)。 そして、「この専門家は信頼できる」と自らの責任において判断したからには、その専門家が期待はずれだとしても、原則として、専門家を責めるべきではなく、「任用責任者」としての自分を責めるべきでしょう。 上の「原則」に当てはまらないのは、専門家が、「専門家に期待される当然のことを怠った」場合でありましょう。注意義務違反であったり、専門家の名に値しない下手さ加減であったり。それ以外は黙って別の専門家を探せばいいのですから。 さらに、専門家が失敗したときに、「自分が選んだ彼/彼女が最善を尽くして失敗したのだからしかたがないのだ」と思えるのが、依頼人側からみた信頼関係といえるのではないでしょうか。 |
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