獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200104-274

最後まで頑張って欲しい
投稿日 2001年4月24日(火)07時18分 sutemaru

獣医さんが安楽死を断る場合の多くは、動物がその段階だとは思わない場合が多いと思います。
獣医さんが断ったから保健所で殺してもらったと言う事は、心の中で保健所に行ったと言う理由を正当化したかったと言う事があるのかなとも感じてしまいます。
殺してくれない獣医さんがいるから、そのような事になったのだと聞こえてしまいます。
各々の事情は本人にとってはどうしようも無い理由ではあるでしょう。
それはやはりその人個人の背負いきれるかどうかの器の違いだと思うのです。
その大きさが小さいからいけないとか、大きいから良いとか言うのではありません。
ただ、そのような時にもう少し安易に他にしようが無かったと言う前に(勿論そうでは無い方もおりますが)必死で他の方法を考えて欲しいと思うのです。
家族の問題を背負っていながらも、最後まで動物の面倒も見る方は沢山いらっしゃいます。
人間だけが家族では無いからだと思います。
年を取れば人間と同じに動物でも世話がやけるのは飼い始めた時に判っていると思います。
その時が来た時に、人間の家族が大変だからという理由は言い訳に聞こえてしまうのは私だけかもしれませんが。
理由がある時でも無い時でも、私個人が安楽死を頼まれた子を天寿を全うさせたくて、引き取った事も何回もあります(そのような事は獣医さんには良くある事かもしれません)
その度に思う事は、人間の方が動物よりも死を恐れ、痛みを恐れ、それを目にして行く事を逃げる事の多さです。
見るに忍びない、可哀想、でも、それでも最後を看取るのが愛情と、その辛さに耐える家族の方は多いのです。
一緒に耐えてきたからこそ、それを放棄してしまう家族の方に非難が行くのだと思います。
誰でも最後の世話の大変さを知っています、苦労も知っています。
それでも頑張って欲しいと願う気持ちが、強い言葉や非難に聞こえる言葉になっていくのではないのでしょうか。
保健所に連れて行く前に、獣医さんに安楽死を頼む前に、他の方法を真剣に考えれば助けてくれる何かを見つける事がきっと出来ると思うのです。
今まで多くの安楽死を逃れた子が幸せになったり、放棄されながらも最後は信じた人に見守られて亡くなる子を見る度に、この子達のような子の家族が放棄する前にもう少し努力してくれたなら、このような運命にさらされている他の多くの子達も少しは救えるのでは無いかと思ってしまうのです。
御自分でどうしても最後まで見る事が出来なくなったら仕方ないかもしれません。
そのような時は(どんなに皆にひどい人間と思われるかもしれませんがそれは受け入れて)何とか他に生かす方法を考えてあげてください。
一人一人が頑張れば、保健所はいらなくなるのですから。
命は一つしか無いのですもの。





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