獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200202-61

reキュウカンチョウと子ウサギ
投稿日 2002年2月9日(土)16時20分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

 キュウカンチョウの生理的寿命は25年程度とされているようです。保っても25年ぐらい、ですから、25年に達しないから変、とはなりませんが、8年はちょっと短いですね。原因についてはよく判りません。突き止めたいのでしたら、かかりつけの病院またはそこを通じて大学病院などに解剖に出すのがよいと思います。必ず判るとは限りませんけれど、ただ思い悩んだり、現物なしにネット上で意見を求めるよりは判明する確率が高いでしょうから。

 子ウサギを母ウサギが食べてしまうのは・・・出産直後には、羊膜や胎盤、ヘソの緒をなめとったり食べたりするようにプログラムされており、普通は、ヘソの緒を食べていって、子ウサギの腹に母ウサギの鼻がぶつかった時点で食べるのをやめることになっています。これが、子ウサギが虚弱である、母ウサギが大きなストレスを感じる等の異常があると、止まるべきところで止まらずに食べ続けてしまう・・・のです。この衝動は、子ウサギが大きくなるにつれ減ってゆきます。赤裸でなくなってきたらあまり生じません。しかし、ある程度育ったら事故が皆無・・・ともいえません。
 他方、2ケ月間親につけておくべき・・・は、離乳時のリスクを減らすためにゆとりを持って、ということと思われます。腸内細菌の移行も関係するかもしれません。
 つまり、親に戻すか否かは一長一短・・・。
 もし戻す場合、ふたつやり方があります。
1 別にしていた子ウサギに、親子グループの尿などなすって戻す。別グループが食われる危険は減ると思いますが、親が錯乱して全部食べてしまう可能性がないともいいきれません。
2 そのまま戻す。別グループのリスクは大きいでしょうが、親と一緒のグループは区別が容易で比較的安全かと。

 戻さない場合の留意点もふたつ。
1 親の食べ物を食べるようになって「もう離乳した」と思えても、なおしばらく哺乳を続ける。エサを齧ってはいても必要なカロリーは実は取れていない、ことがあるからです。
2 別グループのケージに親の糞を入れる。草食の動物は腸内にセルロースを分解する細菌を飼っています。乳だけ飲んでいる時は、その細菌たちはまだ腸内にいません。細菌のエサが入ってこないのですから。動物種によっては、親となめあったり、親の糞(直接、また糞がついた草を)を食べることによって細菌を取り込みます。親の糞は無関係にもともと草や土についている細菌を取り込む場合もあるので、ウサギでどうなのか確信は持てませんが、親が糞があっても害にはならないので入れておいて損はないでしょう。ただ、この細菌の移行が親の盲腸糞にのみ依存している場合は普通の糞では無意味という可能性もあります。

 結果に確信は持てませんが、もし私でしたら、親と一緒にいる子ウサギもいったん取り出して、別グループと一緒にしてかき回して臭いを混ぜ、さらに親の尿を水で薄めたものを霧吹きで吹き、冷えないようにざっとタオルなとで拭ってから、一気に親のところに戻す・・・と思います。必ずうまくいく保証はありませんけれど。

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