獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200209-46

マルチレス 3題
投稿日 2002年9月6日(金)16時36分 プロキオン

9月4日の 臣さんへ
ブリーダーにおけるワクチン接種は単純に言えば、違法行為といえます。
旧獣医師法では、自己所有家畜(牛や豚)の生産管理のために この点があいま
いでしたが、獣医療法の制定によって、医療行為そのものが制限されるように
なったからです。自己所有にかかわるか否かは問題とはならなくなりました。
また、ワクチンは要指示薬ですから、診察に基づかずにかってに接種すること
も問題と言えますし、その譲与も薬事法に觝触する恐れがあります。

ただし、むずかしいのはここからで、これら行為を違法とするには告発者が必
要であることです。かってにワクチンを接種しているという証拠が必要である
点です。ワクチンを譲与した獣医師が自分の指導の元に接種させていると主張
した際に有無を言わせないだけの証拠が必要と成るからです。

まあ、そうは言いましてもおかしいことはおかしいわけですから、獣医師会な
り、監督官庁である県畜産課なりへ一報されることをお勧めします。通報が重
なれば、見てみぬふりということもないでしょうし、そちらからの動きがあれ
ば、これらの行為もやりにくくなるはずです。


9月5日の ただこさん
ウサギの場合は、生理的に赤色尿を排泄することがありますが、血尿に間違い
ないわけですね。
ウサギについては、最初から尿はアルカリであって、これが膀胱炎を初め、腎
炎、尿道炎の治癒を遅らせる傾向にあります。使用している抗生物質が酸性の
PHで効力を発揮するタイプのものであれば、アルカリで有効なタイプのもの
を選択するか、もう一つの方法として尿を酸性に近付ける処置が必要になると
思います。
すでにどちらかの処置がとられているのであれば、さらに踏み込んだ検討が必
要ですので、それこそウサギの何から何まで承知しているという獣医師に登場
願わないとなりませんね。それでも良く成らない時には飼い主さん宛に「根気
」という処方せんを出す事が必要になります。


9月5日の thunderbunnyさんへ
お書きになっている菌名は、昨今ではウサギに書籍でも目にするようになって
きておりますが、まだなじみは薄いかと思います。
この菌の病原性というのは、実のところハッキリしていません。ハッキリとは
していませんが、下痢の際には必ずといって良い程増加しています。

増加していますというのは、健康なウサギにも認められるからです。この菌が
原因で下痢をするのか、下痢をしているから菌が増えたのか、因果関係が明瞭
でないからです。
ただ、下痢が治れば、この菌も減少しますので、まったくの無実無関係という
のでもないと思われます。私の場合ですと、この菌をなんとかしようというよ
りも下痢そのものに注目して治療方針をたてています。
回り道のように聞こえるかもしれませんが、薬ならなんでも使用できるという
動物ではありませんので、病気を診てウサギを診ないということがないように
心掛けています。
それでウサギを助けることができなくても、私が薮医者と言われればよいだけ
です。結果をあせって、自分の手でウサギの寿命を縮めてしまうよりは、なん
ぼもましなことだと考えています。

ウサギはほんの些細なことでも、下痢をしやすく、精神的な原因や移動でも下
痢をすることがあります。下痢と単純に言っても奥が深いように感じています。

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