意見交換掲示板過去発言No.0000-200312-196
3題 |
投稿日 2003年12月25日(木)01時02分 はたの
>k1tさん 人格に踏み込むようで申し訳ない。が、イヌのように生活空間を一にする動物で、ある程度以上高度な(イヌならオフリードでハンドルする)ことになってくると、避けては通れないのです。ヒトが意図して発している以外のシグナルを勝手に読みますから。と、ヒトは自分の無意識をできるだけ意識して制御する必要が出て来ます。ヒトの生き方それ自体は本当は変える必要はなく、イヌから読めるところだけ変えるんでいいんですが、だったら心構えから変えちゃうほうがラクかも、です。 これが海獣等の生活空間を共有しないものだと、その点は少しラク(他方、動物が補ってくれないぶんシグナルの出し方はきちんとしないといけない)なんですが。 >失明 イヌにとっても失明は大事ですが、ヒトほどには視力に依存していませんし、ヒトのように、「失明した」というショックを受けることもありませんので、少しはご安心を。 幾つか工夫を。触る前に声をかけてやる、があります。 家具の配置換え、新しい家具を置く、のはなるべくやめて。ちょうど時節ですが、届いた荷物を床に置くのもやめましょう。さらに、可能なら、椅子の位置も固定してしまえるとなお吉です。床上のモノの配置が変わらなければそのぶんぶつかりません。 段差・階段があるようなら、降り口の上に何か貼るなどして判りやすく。 9歳、すでに失明となると、これから教えるのはやや大変ですが、ミギ、ヒダリ、ススメ、トマレ、が入っていると散歩でもらくでしょう。あぶない! とかは通じませんから、声のかけかたに注意が要ります。 首輪だとしたら胴輪に。ナイロン製で長さの調節ができるもので、迷う場合は幅広を。短めにリードを保持し、あぶなそうな時には上に少しひいて体重を支えてやれば危険が減ります。 呼ぶ時はヒトは動かずに。 遊びは、ヒトの手が常に触れ続けている類、つまるところなでて(嫌がらないなら)転がして・・・というぐらい。 イヌが失明に馴れて激しく動くようになってきたなら、それに合わせて。この時も、触る前に声かけ。 家中の人が、「常に」「各自、いつも同じ」鈴などつけてあるくのも良いかと。もっとも、足音でわかるようになって不思議ではありませんが。 >ごまさん お心落としでしょうが、いつまでもへこんでいては困るのはイヌです。送り出すまでは気を張ってイヌの快適に心を砕いてあげましょう。逝ってしまってからならば、何日もなにもせずに泣き暮らしてもごまさんご自身は困ってもイヌは困りませんから、泣くのはそれまで待って。 安楽死、必要ないこともありますが、覚悟はしておきましょう。往診可能な時間帯などもいまのうちに確認を。 いざという時に備えて、主治医から、近隣の他の獣医師にも紹介してもらっておくのもよいかと。法の解釈や主治医の考え方によりますが、可能な場合は、ご自身での安楽死もいちおうはご検討を。乗り越えられるかたの場合は、安楽死の中では一番いい方法かもしれません。 どこに寝かせるかも考えておきましょう。 経過やごまさんの器用さなどによりますが、自宅で点滴することもなるかもしれません。人の眼が行き届くところで、暖かくて寝心地がよくて、かつ、ちょっと部屋の隅っこで落ち着くことができて、点滴フックを上にかけられて、点滴中の動きを制限するためにサークルが置けて・・・といったあたりを考えてみてください。 また、垂れ流しになってしまったらどうするかも。拙宅では、フロ場の洗い場をイヌに明け渡し、ヒトは浴槽内でしゃがんでシャワーを浴びる・・・でしばらく過ごしたこともあります。いられる限りの時間は脱衣室で過ごしていました。これも家庭に合わせた工夫を、無駄になるかもしれませんが、考えるだけは考えておいて。 ごまさん自身の寝場所も。 イヌをどこに寝かせるかに関わらず、私だったら、側に寝ます。 一緒に寝られるの、あと30回もないのかもしれないのですから。 生活も。 どうしてもやむを得ないことも当然あるでしょうけれど、なるべく外出は控えてイヌの側にいるほうが後で後悔しません。 あとはQOLの問題ですね。 たとえば散歩に行くか行かないか。行きたがらないのならいく必要はありません。行きたがる時どうするか? 獣医師は、呼吸が苦しいだろうから・・・ということで散歩は行かないほうがいいだろうと判断されたのでしょう。医学的にはそれで正しいのでしょうが、イヌがどれぐらい散歩が好きなのか、行きたがるのか、については飼い主のごまさんが判断するしかありません。口がきけないぶんを代わって考えてあげてください。長引かせるのがいいとは限りません。最後に何何できるのなら余命が短くなっても、という判断もあり得ます。 これは毎日毎日、毎瞬毎瞬、ごまさんがひとつずつ判断していく他ありません。 あとは疼痛の管理。意識が薄れる時がすこし早くやってくる可能性はあります。が、苦痛があるようなら、獣医師に、積極的なペイン・コントロールをリクエストしてみましょう。モルヒネの問題があるのでヒトのWHO方式と同じというのは難しいと思いますが、近いものを試みる価値はありましょう。 マンガのブラックジャックでもいいですし、いわゆる字の本でも、ターミナルケアやポスピスを扱ったものがたくさんありますから、読まれることを強くお勧めします。 悲しいのは悲しいに決っていますが、その中にも、透明なすがすがしさのようなもの、そして、死にざまを見せてくれるご愛犬への感謝など、得られやすくなりましょう。 いつかは来ると判っていた別れです。悲しい出来事ですが避けられませんし、逆説的にいえば、イヌから大きなことを学べる機会です。あえて「悲しみを楽しみましょう」と申し上げます。 |
|
|
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」 ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴) サポーターや広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)、 多くの人々に支えられています。 獣医師広報板へのリンク・サポーター募集・ボランティアスタッフ募集・プライバシーポリシー 獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。 @mukumuku_vetsさんをフォロー
Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved |