獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200403-27

続、心配性さんへ
投稿日 2004年3月3日(水)18時46分 投稿者 プロキオン

3月2日の 心配性さんへ
別の方の質問内容が、いっしょになってしまっていましたか? としたらば、
失礼したのは私の方です。どうもすみませんでした。

>>野鳥が感染源とする根拠はなんでしょうか?
>ニュースなどを見てウイルスを日本に運んできたのは渡り鳥で、そのウイル
 スが野鳥の間で広がり、すでに国内に蔓延していると考えたのですが、

この点についてが、私がすでに渡り鳥の全滅を心配されている方に述べている
のですが、そちらは目にされていませんか? 
再度の繰り返しになりますが、強毒株ウイルスに感染していれば、日本まで辿
り着けませんし、東南アジアからは渡りのコースが異なるという主旨です。
また、弱毒株ウイルスであれば、日本へはたどり着けますが、問題になるほど
斃死がでることはありません。鶏に接触する機会があるのは人間ですし、感染
することとは別に機械的に人間や機材が運搬する可能性が最も高いと考えられ
ます。
検討会議でも「渡り鳥が感染源とは考えられない」という見解を表明されてい
る先生がいることは報道済みです。
差し障りを考えて、「人間が」とは言っていないと思いますが。

>>心配性さんは、国内全ての鶏が感染して欲しいとお考えなのですか?
>とんでもありません全く逆です。そもそも野外にウイルスが蔓延していて、
 ウイルスが室内に侵入する機会があると思っていたので、発生してから殺せ
 ばいいという理論がどうしても納得いかなかったのです・・・。

これも、すでに何回も繰り替えし述べていることなのですが、移動禁止をかけ
るということが、すなわち発生地以外は清浄であるという前提に立っています。
すでに蔓延しているということであれば、移動禁止をかけることには意味がな
くただ迷惑なだけのことになってしまいます。
日本中に蔓延しているということであれば、移動禁止は意味がありませんし、
ワクチンの適用が検討されなくてはなりません。其れ故、ワクチンの使用にこ
だわるということが、それだけ奇異に写るのです。なぜ、日本中を汚染してい
ることにしたいのか、また実際に疾病を後世に残すようなことを望むのかと。

現状の基本的な認識に差があるのは、承知していますが、現状においても、後
世にまでかかわる事態としても、現行の摘発淘汰が被害を少なくするであろう
処置だと考えます。鶏1羽1羽や養鶏場1軒1軒の話をしているわけではない
のです。
国内において斃死あるいは淘汰処分される鶏の数を「最小限に抑えるための防
疫対策」がとられているのです。その点はまだ御理解願えませんでしょうか?

>農家や行政がどんな意図だったとしても結果的には、ウイルスに感染したニ
 ワトリが外部に流出したのですよね。行政はこれを止められなかったのです
 よね。私はこの結果そのものに、不安を感じたのです。

これは違います。「結果として」とおっしゃられますが、意図的に拡散された
ものは、行政にだって防ぎようがないですよ。
農場の言い分に対して、すでに従業員が出荷前からトリインフルエンザを疑っ
ていた旨の証言が出ていますよね。もともと、匿名の電話から発覚したこと自
体が責任者の説明に納得していない者がいたことになります。
さらに、獣医師の診断で「腸炎」と診断されたと述べていましたが、これも診
断を受けていなかったようですね。
したがって、わざわざ鶏を出荷したような事例をもって、結果としてウイルス
の拡散を防げなかったというのは、「例」としてあげるのはまったくもって不
適切です。意図的な事例は問題外です。

農場責任者は、なぜこのような措置をとったと思われますか? 偏に隠したか
ったのです。世間の目を恐れたのです、立場をおもんぱかったのです。それだ
け世間がトリインフルエンザで騒いでいることを気にしたのではないでしょう
か? 本来であれば、鶏の疾病です、人間への感染は成立しにくいウイルスな
のです。鶏だけの問題として扱われたのであれば、違った展開もあったかもし
れません。

>ところで、ワクチンは全てに使わなければ意味がないのであれば何のための
 備蓄なのですか?緊急とはどんなときに使うのですか?

こちらも、別の方のニューカッスル病のワクチンについて説明する際に述べて
いることですが。
ウイルス拡散の防止を目的として、移動禁止区域の設定が甘く、再度移動禁止
地帯を広く設定し直さなくてはならないような時、あるいは最初からのことも
ありますが、ワクチンを接種して「防疫帯」を設ける場合です。
ウイルスが放射状に周辺に広がっていくときに、これをぐるっと取り囲むよう
にワクチンを適用します。それによって、ウイルスが周辺に広がるスペードが
ダウンするのです。ダムのような感じですね。
その間に、新たな地区に新たな防疫措置をとる猶予が得られるといことになり
ます。その代わり、この防疫帯の中側の鶏は感染していようが、いまいが、す
べて見殺しです。
もっとも、昨今のように遠隔地へまでの移動があれば、防疫帯の幅を相当に広
くとらねばなりませんので、有効性はかつてほどはないと思われます。

>獣医さんにこんなことを言うのはおかしいかもしれませんが、ペットのニワ
 トリは経済動物ではありません。元気で長生きしてもらいたいのです。ペッ
 トのニワトリが助かれば養鶏に迷惑をかけていいとは思いませんが、経済動
 物を守るために有無を言わさず犠牲になるのも悲しいのです・・・。

ここもおかしいですね。感染していなければ死ぬ必要もありませんし、農家の
犠牲になるという理屈も変ではありませんか? それにもともと養鶏農家の話
をしていたのではなかったですか。
私は、ずっとトリインフルエンザの騒ぎで今飼育している鳥達を守るようにと
発言してきていますよ。飼育している鳥達を守ることが飼い主の責任であると
述べてきています。むしろ、必要性もないのにこの騒ぎで鳥を捨てたり、処分
したりしている人達をたしなめているつもりですが。

>この気持ちは単なるわがままでしょうか。ちなみに親戚は、ニワトリの命を
 守るため、近所に迷惑をかけないためにニューカッスル病などのワクチンを
 打っているそうです。

騒げば騒ぐ程、家庭で飼育されている小鳥や鶏は捨てられる数が増えて行きま
す。感染もしていないのにそういう目にあわされる鳥達はあわれです。飼い主
のとしての責任も自覚もない者が飼育することの罪と言えます。
私がこの話題はもういいやと思うのは、そういう点ですね。

また、ニューカッスル病のワクチンを親戚の方が接種されているのであれば、
どうやって入手していますか? 
これも既出なのですが、ワクチンを3000ドースくらいの単位になっていま
す。ワクチンは生物学的製剤ですので、獣医師の指示書がなければ購入できま
せんし、入手できたとしても大量すぎて困ってしまいませんか。当然、あまっ
た分の廃棄は家庭のゴミには出せません。
「不活化」と「生」がありますし、種類によっては投与方法も異なります。こ
れらの点をクリアーするには、かなり協力的な獣医師の存在が不可欠です。
別の方へのレスには、このような点があるので、接種はむずかしいですよとい
う内容になりましたが、もし、そういう獣医師が傍らにいるのであれば、心配
性さんが心配されてきたことがらは、すでに親戚の方はそちらから、お聞きに
なられているということにはなりませんか?


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