意見交換掲示板過去発言No.0000-200406-127
フィラリア予防内服薬の弱点 |
投稿日 2004年6月10日(木)19時58分 投稿者 Big 1
フィラリア予防内服薬の普及により、フィラリア症は劇的に減少しました。きちんと投薬されていれば、「ほぼ確実」に予防できるようになりました。しかし「ほぼ」なのであって、決して100%つまり完全な予防ではありません。100%の予防とは言えない理由があるのです。そのために毎年、予防開始前に感染の有無を確認するための血液検査が義務づけられていたのです。(実際に予防薬をきちんと飲ませたはずなのに、感染してし まっていた例を何例か経験しています) 弱点1:投薬忘れ 現在のフィラリア予防内服薬は、先に説明したように1か月ごとに投薬する必要があり ます。投薬間隔には若干の余裕がありますが、それでも投薬間隔が開きすぎると感染してしまう危険があります。 弱点2:吸収不良 きちんと投薬したつもりでも、それが犬の身体に吸収されなければ意味がありません。 犬が、飼い主の目の届かないところで、飲ませた薬を吐き出してしまったり、下痢などにより十分に吸収できなかったりすると、せっかく飲ませた薬も効果を発揮できません。 弱点3:フィラリア子虫の脱皮時 現在使用されている予防薬のほとんどは第3期子虫と第4期子虫を駆除するタイプです。その性質から、1か月毎にのませればいいことになっています。ところが第3期子虫から第4期子虫になるための脱皮した直後のしばらくの間だけは予防薬にたいして抵抗できるため、投薬日が運悪くこの時に重なると感染子虫が生き延びてしまう可能性があるのです。 弱点4:予防期間の設定の適否 どんなに良い予防薬も、適切な間隔と期間で投薬しなければ、十分な効果は発揮できません。予防期間を知る目安として、蚊の活動可能な気温から推定するHDUというものが提唱されており、現在はこれをもとに設定されています。HDUを元にした予防期間設定はかなり確度の高いものと考えられますが、その地域全体の平均であるために局地的な違いが反映できないことと、どんなに新しくても前年までのデータを元に計算するため、ずれは生じます。なお、近年は温暖化傾向があるためか、HDUが示す予防期間も年々長くなってきているようです。 |
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