獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200501-209

肥満細胞腫、麻衣ちんさんへ
投稿日 2005年1月26日(水)02時09分 投稿者 田口正行

c−kit受容体の検査は東京農工大学の研究室で行えますが、主治医の先生の紹介が必要になると思います。
凍結した組織での検査になります。
もしもここに遺伝子変異が見つかればグリベックという薬を使用しますが、金額はかなり高価になります(遺伝子変異が見つかってから考えられても良いかもしれませんが、昨年の東大からの学会発表では、日本国内の成績ではアメリカでのものよりもc−kitに遺伝子変異がある確立は低い:組織学的なグレード分けで3度の肥満細胞腫で10% ものでした)。
この薬がうまく効くと、内服だけで腫瘍が全く無くなるほどに効果があります(持続的に効くのかは知りませんが、すいません)。

緩和目的での治療というのは、その腫瘍で死んでしまうことはしょうがないが、なるべく苦しまないようにしていこう、または一時的にせよ生活の質を高めること を考えるような治療と理解しています。
根治は腫瘍細胞をその子の体からなくしてしまうような治療です。

もしかしたら誤解されているのかもしれませんが、肥満細胞腫は基本的に悪性腫瘍ですので、『悪化したり、、、』ということはなく初めから挙動の悪い腫瘍です。
腫瘍の容積が大きくなると、そこから出てくるヒスタミンなどの痒みや痛み、消化管潰瘍などを起こす物質が多くなってきます、今は小さくてそういった症状が無いだけかもしれません。
それと、緩和と寛解とを誤解されているのかも知れませんね。寛解は腫瘍を持った(見えなくても)状態で症状が消えている状態のことです。

放射線治療はおそらく入院での治療になる可能性が高いと思いますが、心配されているように週に5日前後(または別の方法もあるかもしれませんが)、短時間ですが麻酔をかけて放射線を照射する必要があります。
当然この期間は食事が1日1回になりますので、ある程度の体重減少は起こるようです。

どの方法を選択されても、心配されているようにリスクが伴います。
主治医の先生とよく相談されて、御自分の考えで治療方針を決められることが大切だと思います。

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