獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200505-185

re:口蓋裂
投稿日 2005年5月27日(金)11時35分 投稿者 プロキオン

5月26日の あゆさんへ

私は、今、あゆさんができることをしてあげるのでよいと思いますよ。

ある犬の家系についてですが、「伯父」と「姪」の組み合わせの交配で
口蓋裂の子が何回も生まれたことを見ています。
飼い主さんは、まったく別個のところから犬を購入していたのですが、
所謂チャンピオン犬の血筋だったため、このような事が起きました。

生まれた子犬は、口蓋裂と兎唇状態で、私が唇を縫合しました。しかし、
母親が子犬の口を舐めてしまって、見事に縫合糸を切ってしまい、再度
縫合しても、また切られました。
母犬から見れば、異物が付着しており、取り除かなくてはという気持ち
だったのかもしれません。結局、この子犬は過度のグルーミングと哺乳
の不足から亡くなりました。

では、すべての障害を負った子が育たないのかというと、そうでもあり
ません。
私が研修をうけた先の病院では、軟口蓋が塞がっていないシェルティー
の成犬に口腔内のフラップを作成して、これを閉鎖するという手術を実
施したことがあります。
ただ、こちらも結果すればうまくいきませんでした。患者本人が、舌で
形成したフラップを破ってしまったのです。もう1回、別の部分を使っ
て再手術を施しましたが、同様の結果に終わりました。
フラップを形成するための粘膜がなくなってしまったので、結果として
処置のしようがなくなってしまいました。

肝心なのは、そのシェルティーは、そこまで大きくなってきたし、その
後も生存しつづけたということです。
なんとかしてあげようという人間の思惑は、本人が見事に壊してしまっ
て、その後も自分なりに生活していったのです。

あゆさんのところの子犬も、胃に直接繋がるチューブを設置して、人間
が完全に管理すれば、生存は可能だと思います。
ただ、それが正しいのかどうかは、私には判断できません。別にハンデ
ィを背負った子が生きていてはいけないというのではなく、「生きて行
く力」を持った子であれば、生きて行くのではないかということです。

「よかれ」と考えて実施したことが、当事者の方から拒否されたのを経
験しますと、とりあえず、自分にできうることを実施してみて、そこか
ら先は、本人次第ではないかと思うようになりました。

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