意見交換掲示板過去発言No.0000-200507-47
獣医師の責任 |
投稿日 2005年7月5日(火)22時24分 投稿者 通りすがりの獣医師
凶暴なペットの保定について、どの程度まで獣医師の責任になるのでしょう? 抑え方の指導位は、皆さん、その場でなさるでしょうが、現場ではそれでも対応できないケースに遭遇することはままあることです。 日本では、日常的に躾をせず、いわゆる「飼いっぱなし」状態のワンちゃんが多いのです。 治療行為といえば”年に一回の狂犬病注射だけ”というのも珍しくありません。 この手のワンちゃんが”かなりの強敵”なのは獣医師なら了解はしています。 対応が取れる状態ならば治療を断るなり個別注射を勧めるなりしたのでしょうが、今回のケースは文章から想像すると、”注射の直前にオーナーが首輪を離したため気が立っていた犬が瞬時に目の前の獣医師に噛み付いた。”ということなのではないかと考えます。 どこまでが、獣医師の責任なのでしょうか? ”手を離した飼主さん”には、まったく責任はないのでしょうか? 東京で勤務医をしていた頃、機会を探してはアメリカやイギリスの先生の講演を聞きに行ったものでした。 質問の時間に「その検査法はキツイ性格の動物に用いる時は鎮静や軽い麻酔をかけてもいいのか?」と聞くと、時々、怪訝な顔で答えられたものです。 「だめだ! データがくるう。 先日も同じ質問を受けたが、なぜ、凶暴な性格の動物への検査を聞くのかね?」 「日本では、そういう仔が多いからです。」 「・・・・・?」 「御国では、しらふで検査が出来かねるケースはどうしておられるのですか?」 「検査しない! 必要も無い! 我々はペットの相手ををする。 猛獣ではない!」 考えさせられる一言でした。 ひょっとすると、国内でも一部の地域・一部の動物病院では来院する仔が全て躾の行き届いた”良い仔”ばかりのところがあり、そのような場合は「治療中の責任は、例えオーナーの保定ミスでも全て獣医師の責任」と、余裕を持って言える羨ましい所があるのでしょうかね? 田舎で、いつも気を張りながら治療をせざるを得ない身には想像も出来ない言葉です。 国内の状況を認識しているからこそ、アメリカナイズした事ばかりいっても、当てはまらないと申し上げています。 |
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