集合注射は、多くの場合は地元獣医師会が行政と委託契約をしておこなっているはずです。(当地では、獣医師会会員でなくとも参加できるような仕組みにしましたが、呼びかけても参加してくれません)
ですから、まずは獣医師会に仲裁に入ってもらえないかと相談してみるのもいいのではないでしょうか。

保険は、行政の長がこうした業務中の事故に対してかける保険というのがあるとは聞いていますが、集合注射でかけているという話は少ないそうです。獣医師会では、犬に対する
賠償責任保険はかけていることは少なくないようですが、人に対する保険は微妙なようです。当地では、実際に集合注射に参加する獣医師が自発的に資金を出し合って、獣医師自信と、会場に来る飼い主さんを対象にした傷害保険をかけています。が、こういう事例は多くないかもしれません。(全県下に広がるように勧めていますが)

さて、ここからは余談です。
咬まれるのは獣医師の責任かどうかという話題に変化してしまっている部分もありますが、こと集合注射に関しては、ひとまとめにして語ることは難しいと思います。病院内と違いじつにいろいろな状況があるからです。

中には、信じられないようなことをする方がいるのも集合注射会場なのです。

○　「自分の犬ではないから、どんな性格の犬か知らない」こう平然と言ってきちんと保定してくれない方。
○　いくら持ち方を説明しても(現在は持ち方を解説する写真付きパネルまで用意しているのですが)理解してくれない方。
○　注射する瞬間に、保定していたはずの手を離してしまう方。(これが一番怖い)
○　ちっとも大丈夫そうじゃない犬を、「大丈夫だから」と言うだけでまともに保定しようとしてくれない方。
○　まるで聞く耳持たず、暴れ回る犬のリードをめいっばい長く持って「いいから早くうて」としか言わない方。(しかもこういう方に限って、こちらでなんとかするといってもリードをなかなか渡してくれない)
○　簡単にすっぱ抜けてしまうくらい緩首輪を、いくら言ってもちゃんと調整し直してくれない方。
○　順番待ち中に、リードを長くして他の犬と喧嘩しそうになっても気が付こうとしない方。(こちらが注意しても、それでも改善してくれない方もいて困ってしまいます)
○　リードどころか首輪すら付けず、会場内を自由に走り回らせてしまう方。
などなど。噛みつき事故が起きないのが不思議なぐらいの状況です。

当地では、一会場に獣医師が３名出動するようにして、できるだけ丁寧に対応するようにしていますが、なかなかすべてをカバーしきれないのが現状です。我々獣医師に対する噛みつきも困りますが、犬の飼い主自身や、別の方に対する噛みつき事故も心配しています。(次善の策として保険をかけることにした次第です)

動物病院が増えた現在、集合注射という形態を考え直すときがきているような気もします。(これこそ余談)