意見交換掲示板過去発言No.0000-200603-182
川崎さんへ2 |
投稿日 2006年3月21日(火)00時47分 投稿者 はたの
この件に関してはけりーずはうすさんと同意見です。 エサと思ってとか、なんでも咬む癖とか、血のにおいとかはまず関係ないと思われます。 肋骨がない、というのは、肋骨を食べていた、というわけではありませんよね? 肋骨と腰骨の間の皮膚が破れていた、ではありませんか? イヌでも、あるいは(毛皮用に養殖されている)キツネ、ブタやネズミなどでも、母親が生まれたばかりの新生児を食べてしまう事故というのがしばしば起こります。これはエサがとか血のにおいがとかではなく、単純に、「ちょっとやりすぎてしまう」事故なんです。胎児を包んでいる膜を舐め取り(つまりは食べ)、へその緒を食べる、ところまでは正常な行動で本来ならば母親の鼻が胎児の腹に触れたところでストップするはずがそこで止まらない、という事故です。おおざっぱに言えば、人が日焼けした自分の皮を剥いていて、ついやりすぎてしまって健全な皮膚まで剥いて痛い思いをするのに似ています。 おそらくダックスは、老犬の傷を舐めてやっていたんでしょう。また、かさぶたや、毛について乾燥した浸出液の塊を前歯で取ってあげていたんでしょう(自分の体の手入れで、前歯を使うのはごらんになったことがありますよね)。これは基本的には、母親が新生児の世話をするのと同じ行動の別バリエーションなのです。 ところが、「ついやりすぎてしまった」。 自分の毛繕いをするなら痛みで、他のイヌを舐めてやる場合は「痛い」という抗議で、舐めたり、前歯で小さく噛んだりする行動はストップします。今回の場合、それがストップしなかった、ということと思われます。つまり、そのとき、老犬はすでに死亡していたか、あるいは完全に意識がなくなっていた、と考えるのがもっとも自然です。 また、なぜ、そうした行き過ぎが起きるきっかけになったかを考えても、老犬の容態の急変がもっともありそうです。 逆に考えると、もし、「食べる」行動が出てしまったのだとすると、露出した内臓がそのままというのはきわめて不自然なのです。腸を引きずり出して肝臓を食べかける、というところまでは一気呵成に進むはずです。また、死に顔が穏やかだったはずもありません。 もうひとつ、少しだけ考えられるのは、「ウェーン反応」です。意識が非常に低下した場合、ある特別な「ウェーン」というような声をイヌは発します。それを聞いたイヌは(それさえないような腑抜けた品種もありますが)その声を発したイヌを殺そうとします。これは特別な回路があるためで、やはり、空腹とか、エサと思ってとかとは関係がありません。また、イヌ同士が仲良しかどうかとも関係ありません。ヒトが、目にゴミが入ったらつい目に手をやってしまうような反射です。ただ、この場合は、どこかを選択的に咬むということはなく、むちゃくちゃにかじりますし、生きているうちですから、老犬の死体が乱れなく、死に顔も穏やかだった、というのと矛盾します。 今回の件では、三つの「基本の行動パターン(とそのバリエーション)」が想定されるわけですが、ご説明からして、「捕食系」「ウェーン反応系」は否定できます。残るは「手当のつもりがやり過ぎ系」であり、そう考えると矛盾点もありません。 老犬の容態が急変し意識がなくなった、または老犬が死亡した、それがきっかけで手当のつもりで舐めたり前歯で細かく噛んだりした、けれど、「どこで諦めてやめるべきかわからなかったから」やりすぎてしまった、というのが最も可能性が高いと思われます。 お気持ちの整理を他人が強いることはできませんが、手当のつもりだった、と断じてよいと私は思います。 |
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