意見交換掲示板過去発言No.0000-200603-283
>うっかりやまさんへ |
投稿日 2006年3月31日(金)11時40分 投稿者 プロキオン
フレンチブルドックやパグのような短頭種の犬の場合、軟口蓋が下垂しやすいという ことは確かにあります、普段寝ているときも「鼾」として振動音がでやすい傾向があ ると思います。 ただ、こちらであれば、普段寝ている際に呼吸困難による事故が起きるということは 心配しないと思います。(実際には、鼾が急に止まるときなどは、ある種の呼吸困難 に相当しますが…。) やはり、気管チューブを挿入する時に気道の入り口が目視しにくい、急激にカーブし ている、カフの圧迫による気道の粘膜の腫脹というようなことで、事後の気道の狭窄 を懸念されてのことのように想像します。 むろん、軟口蓋も導入麻酔の時点から下垂していますので、そのことも配慮されなく てはなりませんが。 今回、書き込んでいただいた内容からですと、私はやはり去勢手術可能だと考えます。 まあ、局所麻酔でやる必要もないでしょうけど。 気管への挿管が嫌というのであれば、注射麻酔でも、マスク維持でも、できるように考 えます。要は、短時間麻酔ですみやかな覚醒を図るということと、手術時のポジショニ ングによって対応可能ではないかと思うのです。 パグとかフレンチブルドックが相手であれば、帝王切開手術等で引っ張り出される獣医 師は少なからずいるでしょうし、それに比べれば、去勢手術の時間が、気管チューブを 挿管されていることによって生じる気道の腫脹や狭窄が、帝王切開に勝るとも考えられ ません。 おそらくは、主治医の先生が慎重な正確なのか、苦い経験をされているのか、気持ちの 問題ということになるのではないかと思います。 私も麻酔薬の「ケタミン」にひじょうに弱い子が患者にいまして、その犬の去勢を依頼 されたときは、やはり一度は止めました。 その犬は痙攣を起こすタイプではなく、反対に通常量の半分程でも接種すると心音が聴 取できなくなってしまうんです。呼吸間隔も相当に開いてしまい、いつ心停止がおきて もおかしくなく、ひじょうに怖い患者です。 もう、あまり若くない犬なのに、なぜ今になって去勢なのかということになったのです が、どなたかに「肛門周囲腺腫」のことを聞かされて、予防のために去勢したいという ことでした。 まだ、できてもいない腫瘍の予防ということでしたので、麻酔に弱い犬をわざわざ去勢 しなくてもと考えました。 しかし、他の病院で何も知らない先生が通常量を投薬したらと考えると、それこそ危険 でしたので、私が実施する方がベターですし、それも主治医の責任であろうと考え直し ました。嫁さんからは、「何かあったら、どうするんだ」とこっぴどく叱られました。 術中のバイタルサインをチェックしている彼女にとっては、気が気ではなかったはずで す、私も吐きはしませんでしたが胃は相当に痛かったです。ボーナスを要求されました が、手術代金は通常どうりでしたので、別の意味でも身が痩せる体験となりました。
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