意見交換掲示板過去発言No.0000-200603-284
re: フェレットの白血病 |
投稿日 2006年3月31日(金)12時43分 投稿者 プロキオン
フェレットにおける脾臓の腫大というと、必ずしも「白血病」ばかりとも言えません。 いわゆる「巨脾症」と呼ばれるものには、ウイルス、細菌、機能亢進、自律神経の異常 によるうっ血、循環器疾患や内分泌疾患に由来するもの等があり、さまざまな場面で腫 大し、「腫大」というだけでは、原因を特定するまでには至りません。 # 腫瘍関係でも、白血病(リンパ肉腫)以外にも血管肉腫もしられています。 腫瘍とは異なりますが、「嚢腫」の形成も報告されています。 確認するためには、レントゲンやエコーの検査の他にも抹消血での腫瘍化した白血球の 確認等もあります。 これらの類焼鑑別をすべて実施する必要はないのですが、ある程度のあたりが付くくら いは実施された方がよいと思います。(見当違いな治療となってもいけませんので) ほぼ、間違いはないということであれば、白血病によく使用される抗癌剤を選択すると いうことになるはずです。 ただ、長期的な予後はやはりあまり期待できない疾病ですので、その点はご承知おきく ください。 白血病についての説明にはなっていないと思いますが、こちらは成書や雑誌でも目にさ れる機会は多いようですし、人間や他の動物の白血病におき換えても、そう大きな誤り はないと思いますので。 追記:「フェレットの輸血」 エチオペア出身の先生が大阪で「アフリカの大河」をもした病院のことが紹介されま したので追記しておきます。 フェレットにおける輸血は、エストロジェン過剰症による貧血の際に一時的に(緊急 避難的に)実施された経緯があると思います。 赤血球の容積が10%をに近づくと生命の危険があるということになりますので、手 術にも耐えることができない。したがって、体の大きめのメスを選んで、ヘパリン処 理をした針やバックを用いて、頚静脈から20Gくらいの針で採血し、これを患者の 頚静脈へ0 25〜0 5ml/分くらいの速度で輸血するそうです。 フェレットにおいては、輸血の重複をあまり問題としていなかったようなのですが、 やはり輸血する血液型が不明のままこれを重複するということは危険なことだと考え られます。 当時の適応であれば、ヘマトクリット値を1〜2%くらいあげるくらいの輸血量であ って、1回だけの輸血でしのげる事情であったのであれば、輸血のもたらす弊害とい うものも問題とはならなかったのではないかなと考察しています。 対象疾病が1回の輸血で済まないことが想定される疾病であれば、やはり慎重になら ざるをえないのではないかというのが医療事情なのだと思います。 完全にマッチングしている個体同士であると確認されていれば、問題はないと考えま すが、さてこの点がどうでしょうか。
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