意見交換掲示板過去発言No.0000-200605-348
フィラリア成虫駆除 |
投稿日 2006年5月30日(火)08時11分 投稿者 Big 1
山下先生もあいかわらずですね。FVETのころなら、そろそろ相談者のかたに裏でメールしている頃でしょうか。 >Q.フィラリア症の外科療法は? >A.通常のフィラリア症では、オススメできるものではありません。 >通常は上にも書きました急性フィラリア症などの際に行なうものだと思います。 こういうのが、学術的な表現ってやつなんでしょうか? 「通常は」という表現でエクスキューズしているとしても、一般の方の中に、「急性 フィラリア症になった時以外は外科手術の適応外」と誤解する人が出てきてもおかし くない表現です。 そういう誤解から、本来であれば手術による吊りだしを選択すべきである状態である のにも関わらず、手術以外の道を選択してしまうことを危惧して書き込んだのですよ。 「無症状〜軽症」というのも一般の飼い主さんの目から見てのものです。ですから、 「実際に診察して犬の状態を把握しなければ、手術適応か否かはわかりませんよ」と、 さらに「ある程度の寄生数が確認できる状況では」と説明してきたわけです。 ここは、一般の方に読んでもらうことを基本としているので、できるだけ平易な説明 にとどめるようにしていますのでね。 「専門用語で煙に巻く」ことを非難し、「わかりやすい説明をする」ために登場して いる方が、突然、「学術的じゃない」ではねぇ。読んでる方がとまどっちゃいますよ。 ※さて、ここからは一般の方向けです。 山下先生もご推奨の最新のガイドラインによりますと、AHSおよび米国の複数の大学 病院におけるフィラリア成虫駆除の第一選択は、ある砒素系成虫駆除薬を3回にわけて 投与する方法とされています。 マクロライド系という予防薬の連投は代替え的なものにとどまり、さらにフィラリア症 の徴候をしめす(飼い主さんからみても症状がわかる)犬、あるいは非常に活動的な犬に 選択するべきではない、とされています。また、無症候性(私がいままで「無症状」と書 いてきた状態です)の犬に適用する場合でも、フィラリア成虫がすべて死滅するまで獣医 師が少なくとも4〜6か月に1回検査をする必要がある、とも記されています。 さて、薬物駆除の場合「肺動脈塞栓症」になる可能性があります。これはどのような薬 剤でおこなったとしても起こりうるものです。ですが、フィラリア成虫の寄生数が多い ほどにその可能性が高まります。そこで、寄生数によっては、あらかじめ外科的吊りだ しでフィラリア虫体数を減らしておく方が良いという、先の説明につながります。 残念ながら、見た目の症状と、フィラリア成虫の寄生数とが一致するわけではありませ ん。見た目は無症状つまり無症候の犬であっても、エコー検査で多数の虫体寄生が確認 されることもあれば、循環障害の症状が誰の目にも明らかな犬でも、肺動脈内成虫は少 ないこともあります。これは血液検査でも、判断できません。 血液検査でフィラリアに感染していることがわかったら、つぎは胸部エコーか胸部X線 検査をする必要があります。(どちらかといわれれば、エコー検査だと私は考えています) そうでなければ、次の一歩を選択することができないのです。
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