獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200608-148

re: 病院に殺された
投稿日 2006年8月19日(土)12時11分 投稿者 プロキオン

猫が死亡したこと、まずはお気の毒でした。
謝罪がないことと診察料1万円とのことで、お怒りのようですが。

1、謝罪
 横隔膜が破れていたとのことであり、残念ながら、そのような状態であれば、診察し
 た獣医師が言うように転機は変えようもなかったと考えます。検温の保定に耐えられ
 ないくらいの重篤な状態であれば、手術による整復も望めなかったように想像します。
 当然、その死因となった横隔膜の破裂がその獣医師がやったものでなければ、転機の
 帰趨は自分にはないと主張することはありえます。
 アメリカであれば、むしろ、そちらが当然な態度であって、クレームを述べること自
 体にクレームが返ってくるのではないでしょうか?
 ここは日本ですから、そこまでビジネスとしての割り切りに抵抗感はあるでしょうし
 、多くの病院でも「残念でした」くらいの言葉あると思われます。おそらくは、言質
 を取られることを避けたいという気持ちがあったのではないでしょうか?

2、診察料1万円
 治療のための処置にまで移行していない段階(状況把握の段階)と考えられますので
 再診料と検温料としては、私も高いように感じます。
 もし、横隔膜が破裂していることの確認までの検査を含めてであれば、あながち高額
 とも言えなくなります。どこから、どこまでの料金かということの確認が必要だと思
 います。

3、こんなこと普通にあるのでしょうか?
 普通とまでは言いませんが、決して珍しいことでもないと私は思います。
 私の病院でも、呼吸がおかしいという野良猫を留守中に持ち込まれ、帰宅して、どれ
 どれと抱き上げようとしたら、触れもしていないのに驚いてとびあがり、そのまま死
 亡してしまったことがあります。滲出性胸膜炎の猫ではレントゲン撮影をしようとす
 ると暴れて、そのまま死んでしまうということはよくあることなので、おそらく、そ
 の疾病であろうと保護された方を呼んで目の前で胸から血様の液体を抜いてみせたこ
 とがあります。
 当該猫は、横隔膜が破れていたということですので、やはり、低酸素状態にあったと
 想像されますので、急な転機をとったとしても起こりえることのように思います。そ
 れだけ重篤な状態であったということになると考えられます。

私達の診療分野では、横隔膜の破裂というと、交通事故に付随したものが多いように思
います。このときに、肝臓や消化管が横隔膜の孔にすっぽりとはまってしまうことがあ
り、そのような例ですと、呼吸が維持できますので、事故直後のショック状態を脱する
のをまってから整復手術を実施します。
事故直後に急いで手術する方が成績が悪いと言われています。また、逆に1年もおいて
からであると、臓器の癒着がすすんで手術が難しくなるとも言われています。
保定中に死亡するくらいですから、おそらく横隔膜の孔は塞がっている状態ではなかっ
たのではないのでしょうか。なぜ、横隔膜が破れていたのかの方が死因の解明としては
、大切なことのように思います。
また、横隔膜ヘルニアでなくても、腹壁が破れたというような例でも(呼吸の異常の有
無にかかわらず)、受傷後数日で死に至ることはあります。

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