意見交換掲示板過去発言No.0000-200611-43
re: 野良猫へのワクチン接種の必要性について |
投稿日 2006年11月6日(月)10時27分 投稿者 プロキオン
これは、多くの他の疾病とも共通していえることなのですが、飼い主さんがどのように 考えるかと言う事につきます。 猫のワクチンについて言えば、まず、「対象疾病に感染しないため」という考えではな いと思います。「感染しても軽症で終わるように」ということを期待するようにしてい ただきたいと思います。 これは、猫のワクチンが対象としている疾病の多くが、粘膜を侵入門戸にしており、ワ クチンによって上昇させることができる免疫グロブリンの分画が、侵入門戸である粘膜 に分布しにくいためです。全身症状は抑えることができるけれども、粘膜におけるウイ ルスの感染までは防ぎ得ないということになります。 全身症状によって、衰弱することはないけれども、クシャミや鼻水はでてくるかもしれ ないということになります。 これは2回の基礎接種や追加接種をきちんと済ませた猫であっても言えることです。 で、この点を踏まえた上で、1回だけの接種が、どのくらい効果が期待できるのかとい うと、手術といっしょであれば、かなり効果を割り引いて考えた方がよいということに なります。 ただし、まったくワクチンをしていないというのとは、やはり違います。接種していな い個体よりは、免疫反応が早く現れるはずですので。 つまり、逆から見て行くと、このような疾病というのは、ワクチン未接種で、罹患して しまって、そして治って、自然獲得免疫を得たとしても、また、同じ疾病に罹患する可 能性があることになります。 再感染に対して、多少なりとも免疫をもっていれば、重篤な全身感染には至らないとい うことになります。 つまり、対費用効果ということであれば、正規の接種の○○円という効果は期待しては いけないことになりますが、でもまったくの0円でもないということに相当します。 対象が野良猫ですから、当然、もっともワクチンの必要性がある個体群とも言えますし、 栄養状態が悪い猫にとっては、避妊去勢手術さえものが負担が過ぎるということもあり えることになります。 # 実際に私が承知している野良猫群では、ある愛護団体が実施した避妊去勢手術後に およそ3割の個体が斃死しています。 これには、それなりの理由がありますが…。 何も異常のない野良猫たちであれば、できればワクチン接種は実施した方がよいのです が、あくまでも個々の猫の状態をキチンと判断して、十把ひとからげでないことを願い ます。 また、ワクチンを接種したからと言って、それで安心してしまわないことです、もたら される免疫も不十分なものですし、野良猫であれば、ワクチンブレイクが簡単に起きて しまうことも考えられるからです。 このような評価を投稿者ご自身で、どう考えるのかということにつきると思います。
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