獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200611-80

アロマさんへ
投稿日 2006年11月12日(日)17時11分 投稿者 プロキオン

セキセイインコの場合、腹壁が過度に伸展してしまって、腹腔内臓器が下がってきたり
、皮下に脂肪が蓄積して色彩が変化してしまったりという現象が、腫瘍として診断され
ていたりすることがあるので、腫瘍を疑うようであれば、かならずその正体を確認する
ことが必要です。
悪性か良性かを判断するだけであれば、細胞片があれば済みますので、手術の必要性は
ありません。
また、正体が分かっていないのですから、これに適した化学療法剤というものもないよ
うに思います。小鳥とくにセキセイインコを数多く扱っていて、その腫瘍にも詳しいと
いうのであれば、経験から○○らしいので、この薬ということもあるかもしれませんが
まず、分からないものは、調べるか、分かる者にゆだねるということが原則だと考えま
す。
これが診断した先生の指示にもとづいてのことというのであれば、それは残念なことと
言えます。

二度目の投稿の中で、「腫瘍から出ている塊」という表現がありますが、この意味が判
じかねます。本体が腫瘍であれば、そこから出ている、できている塊も腫瘍細胞で形成
されているということになるのが普通だと思いますが、別の組織なのですか?
また、
「病院の話では手術前は塊に血管が通っていると思わなかったのだが(塊の中は中身がな
 く空っぽだった為)、切ってみたところ腫瘍とつながっていた為腫瘍を除去せざるを
 えなかったとのことでした。」
とありますが、腫瘍から出ている塊に中身がないということは、皮膚から成っていて、袋
状の嚢腫であったということでしょうか? 嚢腫にしても普通は中身がありますから、い
ったいどういう状態だったのだろうという感があります。
読んでいる限りでは、本当に腫瘍だったのかどうかの時点で判断材料がありません。

診断や処置が適切であっても、結果として予後不良となるケースも決して少なくないわけ
ですから、急性経過をとりやすい動物であればあるほど、慎重さが必要です。
とくに10歳のセキセイが患者ということであれば、それなりにショックに対する善後策
は念頭にあってしかるべきでしょう。

ただ、獣医師だというだけでなく、小鳥の診断に関して勉強されていて、根拠があっての
診断と治療であれば、キチンとした説明があると思います。
それがあるのであれば、患者自身の寿命や運命ということになるのでしょう。せっかくの
処置であっても侵襲に耐えるだけのものがなかったということになりそうです。


しかし、もしも、そうでない場合の説明というのは、他者に尋ねても答えようがないこと
です。
私自身にしても、腫瘍であったのか否か、切除が仕方なかったのかそうでなかったのか、
あるいは、手技や術後管理が適切に実施されていたかの判断は、現場に居合わせたわけで
はありませんので、判断できません。
手術のようなことは、いったん始まってしまえば、あとはもう信じてまかせるしかないの
です。主治医選びは、何かあってからでは間に合いません。
信頼すべき先生として自らが選んだ主治医に託したのであれば、結果も飼い主自らが負う
ということになります。すなわち、あの先生でだめだったのであれば仕方ないということ
なのです。
悔いが残るというケースになると、多くの場合が、動物を託すべき獣医師をよく考えてい
なかったということが多いように思います。「もしも、」「…たら、」「…れば、」とい
う単語に振り回されるケースです。



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