意見交換掲示板過去発言No.0000-200701-107
あらためて、雌犬の乳腺腫瘍と避妊手術の関係について |
投稿日 2007年1月19日(金)20時14分 投稿者 X
まず、手元の本に 最初の発情前に避妊した雌での発症率=避妊していない雌の0.5%である。 2回目の発情前に避妊した雌での発症率=避妊していない雌の8%である。 2回目の発情以降に避妊した雌での発症率=避妊していない雌の26%である。 2.5才以降に避妊した雌での発症率=変化はない(避妊していない雌と同じ) とあります。また,他の本には 単にそれぞれの危険率は0.5%、8%...とあります。 両者(手元にある本)は訳本です。 さて、どっちが正しいのか...同じ数字を使っているので 出典(根拠となる論文)は同じかと思います。ですから、 原文をみればわかることかと思いますが、 一般的な解釈?推察?をすれば(一般の方は原論文をみれないと思うので) ただ単純に、避妊していない雌の..という言葉を 見落とすことはあっても付け加えることはなさそうなので やはり前者の方が正しいように思います。 ちなみに、前者の本には明確に未避妊の雌での 乳腺腫瘍の発生率については記載ありませんでした。 あるのは、雌犬での発生率 100000頭あたり198.8頭 (概算で500頭あたり1頭)です。 実際のことろ、なにが本当なのか真実なのかは わかりません(..私には)。それなりの本に書いてあるから 正しいとうことはいえないと私は思います。ただ、 信憑性についてはそれなりに考えることはできます。 今回のことでいえば、 2回目の発情以降に避妊した雌での発症率=避妊していない雌の26%である。 と、避妊していない雌の26%が乳腺腫瘍となる (避妊していない雌の4頭に1頭が乳腺腫瘍となる)、どっちが正しいそう なのかは原典を読めなくても推察できると思います...自己判断できると思います。 私としてはやはり前者が正しいと思います。そこで、そうだとして では、避妊していない雌犬での乳腺腫瘍の発生率はということ... 上記だけの情報ではなんともいえないようにおもいます。 雌犬での発生率 100000頭あたり198.8頭 (概算で500頭あたり1頭) とあったとしてもこの雌犬というのがすべて未避妊犬で天寿を全うしたもの、 (それなりの年齢まで追跡したもの)とは限らないと思うからです。 そもそも、避妊していない雌犬での乳腺腫瘍の発生率というものを 調べることは現実的にかなり難しいように思います。 相当数の未避妊犬を無作為にリストアップして生涯追跡すれば わかるとは思いますが,現実的ではないと思います。そこで、 代用となるのが来院犬における割合とかだと思います。 (来院犬=母集団を代表しているとは限りません)。 ちなみに、避妊犬と未避妊犬との発生率の比較は 乳腺腫瘍で来院したものを分析すればできることかと思います。 (これも厳密に考えれば???です...例えば、 避妊手術をしていない...というのは単にかわいそうという理由だけであれば、 いいのですが、ただ単に無関心ということであれば、腫瘍ができても 病院には連れてこられない...数字にでてこない、ということも考えられます) 結局、(冒頭の情報から言えることの結論として) 雌犬の乳腺腫瘍と避妊手術の関係については、 早期(2.5才まで)に避妊すれば乳腺腫瘍の発生率は減る、 未避妊犬の乳腺腫瘍の発生率は1/500(0.2%)以上であろう ということだと、私は思います。 あと、雌犬の乳腺腫瘍については既に述べられているように その半分が悪性でさらに悪性の半分が(転移とかしやすい)本当の悪性である。 また、より性ホルモンの影響を受けやすい...避妊でより予防できるのは、 良性の方...ということです。 田中さまへ.. 多くのHPなどで、何故、発情が2回目以降の手術では4頭に1頭が乳がんになるなどと書かれているのでしょうか...? ただ、単にどっかに書かれていたことを鵜呑みにしてのこと、 医療情報の関係を検証せずしてのこと..そのためだと思います。 いい戒めになりました。と書きながら、自分自身、 医療情報の関係を検証して述べているわけではありません... 上記の結論は一般の方でも得られる情報から、 あくまでも私はそう思うという程度のこととお受け取りください。 なお,実は先日,今回のことに関し、各%は 避妊していない雌の..ではなかったですか?と投稿したのですが、 そのあと私もあっちこちのHPをみて、あれれ... そうなっていないところばかりといことを知り、 本当はどっち?と思ってしまい,取り消しました。 確率(発症率)というのは大変重要なものだとは思いますが、 個々についてはどっちか...有か無かだと思います。よって、 以前のご投稿にもありましたが,まずは日々の健康管理が大事かと 思います。幸い乳腺腫瘍に関しては飼い主さんでも見つけられるものです。 例え組織的(病理的)に悪性といわれても必ずしもそれで命が 奪われるということではありません。 長々と書いてしまいましたが、最後に 今回のようなこと...情報の錯綜?は日常にもあることのように思います。 〜に書いてあったから・〜さんが言ってたから、 ・・・だと思ってしまうこと(決めつけてしまうこと)があるようにおもいます。 今回のことは(私にとって)よき戒めとなりました...ありがとうございました。
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