意見交換掲示板過去発言No.0000-200701-127
Re:レプトスピラ病 |
投稿日 2007年1月22日(月)14時56分 投稿者 プロキオン
血液検査で診断したということが、どこまでのことを指して言っているのでしょうか? レプトスピラ病と診断されたということは、今現在症状が出ていると考えてよいのでしょうか? 症状が発現しているのであれば、「しつけ教室」という発想はまずいでしょう。重篤な症例は死の転機をとるわけですし、一見治ったように見えても長期間に亘って、病原体を排泄し続けますから。 むしろ、私が疑問に感じたのは、「しつけ教室」を考えるくらいであれば、症状が出ていないのではないかということを考えました。それが、どこまでの血液検査を実施しての診断なのだろうかという疑問であり、どこまでどのような症状がでているのだろうかという疑問なのです。つまり、それは8種混合ワクチンを接種しているという記述もかかわってきます。 適切な時期と間隔でキチンとした接種を実施していれば、この疾病にそうそう罹患するものではありません。もし、罹患してしまったのであれば、ワクチン接種に不備があったのか、それともワクチンブレイクが発生してしまっているかということになると考えられます。 つまり、この症例においては、ワクチン接種済み個体であるので、血液検査がレプトスピラの抗体検査だけであるのなら、診断としての意義はかなり低いものと受け取らざるをえないのです。当然、血液中あるいは尿中からレプトスピラの病原体を見つけ出さなくてはなりません。ただ、こちらの場合はかなり短い期間しか確認できないのが普通で、症状があらわれていても見つけることができるとは限りません。 それゆえ、発熱・黄疸・膿尿等の症状が出ていても、病原体の検査は容易とはいえないのです。かなり典型的な症状が出ている例で、それも初期にということになります。 ですから、そこまで疑う余地のないレプトスピラ病であれば、これは人間の方の感染症にかかわる法律で届出が定められています。一旦、レプトスピラ病と診断したのであれば、獣医師も人間の保健所の方へ届け出る必要があります。このために法律改正以前よりも診断に慎重となる傾向があるくらいです。 まがりなりにもワクチン接種済み個体ですから、そうそう重症化するとも考えられないことですし、また治療法も明確な疾病です。 要は、どの時点で他の人間や犬との接触を認めるかという判断にいたるかということなのではないでしょうか。この点については、主治医と保健所で逐次協議していくということでしょう。 ( 先に述べましたように一旦治った犬でも長期に亘って菌の排泄がありますから ) # レプトスピラワクチンについては、ワクチン接種から感染防御レベルが維持できるのは、1年というのが、ワクチンメーカーの説明です。 ただし、1年間維持できないのではないかという意見も近年散見されます。 また、血清型がそれこそ多種類(200種類以上)に亘っており、どこまでワクチンにいれるのかという考えもあります。こちらの考えにいては、犬に流行が見られる2〜3種類の血清型のレプトスピラを抗原とするということが行われています。まったく見たこともない新しい血清型がかかってしまったということは考えにくいです。
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