獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200701-128

Re:購入後に障害や病気が出たときはどうするのか
投稿日 2007年1月22日(月)17時56分 投稿者 プロキオン

こういう内容の相談の場合、まず意見を述べてよいものかどうかで迷います。

ただ、豆柴という犬種は、かなり交配で無理をしているところが多いので、犬自身もさまざまな問題を抱えていることが多いように感じます。
ですから、

>その中で、一番犬にとって良い事が多い確立を選ぶ‥、偉そうな事をと怒られるかもしれませんが、良い人に貰われて良い環境で‥一番確率が高いから返すのです。

というのは、希望的観測がすぎるように思います。犬の流通の実態を冷静に考えて、私にはそのような一番良い可能性はかなり低いものとしか考えられません。

私の友人の家の柴犬も足に異常があります。それはもう生まれつき両方の後ろ足が変形していて、胡坐をかいているような姿勢で、股関節も膝関節も曲がっています。ですから、歩くときは両方の前足とまだましな方の後ろ足でヒョコタンヒョコタンと尺取虫のような歩き方をします。
しかし、これが逆に走るときは、前足と腰のバネを使って走りますので、意外に速く走ることができます。
また、これもずっと昔に書いたことがありますが、子犬の頃に腰を自動車に引かれて後ろ足が使えなくなってしまった犬も知っています。こちらの犬の場合は、下半身が自由になりませんので、歩くときは後躯を引きずります。走るときは引きずるスピードが増してくると逆立ちをして前足だけで歩きます。走るというほどではありませんが、後躯を引きずるよりは速いですよ。
どちらの犬もふぅさんの犬よりも重度の障害だと考えられます。

また、我が家にも障害をもった猫達がおります。片方の猫は右前足が曲がった伸びません。もう1頭は下半身麻痺で両方の後足が使えません。前足で後躯をひきずって移動しますし、自力排尿ができませんので、1日に3回尿を搾らないとなりません。(この話は猫のBBS の方でも紹介したことがあります、その時も猫の行く末に関わるお話だったので紹介しました)
本人達は障害をもっていることは苦にしていません。今を生きていくこと、暮らしていくことに夢中なんです。人間のように悩みはしません。飼い主も犬がそういう犬なんだからと割り切って考えています。治療のレベルを超えていますしね。

ふぅさんの犬の場合は、骨きり術や整形外科の余地があるように推測しています。それを実施しなくてはならないということではありません。実施しない選択肢も当然あります。
ただ、それは飼い主としての自らの決断であって欲しいのです。
どこかの誰かが幸せにしてくれるかもしれないという考えには、賛成できないというだけです。
自らの力の及ばない選択、誰かに委ねるのであれば、そのときは最良の結果を期待するべきではないと思うのです。むしろ、最悪のケースを想定して、それも自分の選んだ選択として受けとけめるべきだと考えるのです。

障害は障害でも別にこの世で最も重い障害でもないし、命に関わるようなレベルでもないし、もっと重症の障害をもった犬はいっぱいいるはずですし、それらの犬と暮らしている飼い主もいるわけです。その飼い主さん達が泣き言を言っているのであれば、まだしも、
深く気をわずらっているようにも見えないのです。

あえて冷たく突き放した言い方が許されるのであれば、「ふんふん、なるほど。で、だからどうしたのですか?」というところです。別にどうにかしなくてはいけないことなのでしょうか? 思い悩まずに暮らしていっている飼い主もいるではないですか。

それと、これは蛇足ですが、今の犬と前の犬を比較しても仕方ないと思います。もともと違う犬なのですから。
  

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