獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200801-106

Re:Re:Re:子猫へのワクチン接種量について
投稿日 2008年1月21日(月)10時51分 投稿者 プロキオン

>「フェロ○○○○○」は死菌ワクチンのようなので、個人的にはアレルギー症状が怖い気がします。(まったくの素人考えですが。)

あの〜、誤解されているようなのですが、混合ワクチンの中にはどこのメーカーのワクチンにおいても不活化ワクチン(猫初心者さんが言われている死菌ワクチンのこと)が入っていますよ。そして、通常、猫に必要とされているのは、混合ワクチンです。
先日より、特定のワクチンにこだわっておられるように受け取ることができますが、不活化ワクチンに対して不安を感じておられるということであれば、特定のワクチンにこだわるということには意味がありません。流通している各社のワクチンについて同じように心配しなくてはなりません。
また、私自身、そのワクチンに問題があるという話は獣医師仲間から体験として見聞きしがことはありません。


>もうひとつ、”必要な量の病原体”というのは個体の体重には依存しないのか?と思ってしまうのですが。。人間でも大人と子供では薬の量は違いますよね。。

これも、誤解ですね。この質問自体は、もう何年も何度も繰り返されてきているので、過去ログを調べていただいた方が早いのですが、誤解という部分についてのべますと、抗生物質等の通常の医薬品は、手っ取り早く言いますと、「化学薬品」です。投薬量と効果の発言に量依存の相関性があります。
しかし、ワクチンは「生物学的製剤」であって、「化学薬品」ではありません、こちらは「異種蛋白質」です、用量依存性はあまりなく、体内に炎症を引き起こすのに充分な絶対量が必要です。炎症がおきなければ、免疫は付与されません。この炎症を引き起こすのに必要な量というのが、10の6〜8乗というくらいの大きな数値となりますので、犬や猫の体重である10の1乗くらいの相違というのは、問題とはなりません、桁数がまったく違うのです。
「化学薬品」における安全性試験というのは、体重あたりで5倍とか10倍とかの単位で検討されますが、「生物学的製剤」となると10万とか1000万とかの単位のものを5倍というように考えられているのです。そもそも体重1Kg当たりどのくらい量という概念ではなく、1頭当たりという生物学的な単位で考えられます。
「化学薬品」ではなく、「生き物に対する生き物(病原体)」ということであって、取り扱う概念も単位もまったく異なるものなのです。これを医薬品であることには違いないということで一緒に考えてしまうことが、そもそもの誤解なのです。
このような誤解から医療事故が発生しないように専門的な知識を有した者だけに取り扱いを許した医薬品が病院薬であり、処方箋薬・要指示薬ということになります。ワクチンのような「生物学的製剤」はこの典型となりますので、獣医師の指示にしたがって、正しく接種していただくことになります。かってに量を減量しても求める効果は得られないこととなります。

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