子犬は「糞」を食べているという認識はないと思いますよ。子犬にとってみれば単に「食べ物」を食べているだけです。

狼のような群れをつくる肉食獣は、集団で獲物を追跡して狩りをします。巣でまっている子供達に獲物を引きずっていったり、咥えていったりということですと、どうしても自分達の行動が制約されがちになる。その獲物自体を狙ってくる別の動物もいるわけです。
だから、獲物を咬み裂いて飲み込んでしまう。その方が便利で安全なんです。
ちょうど巣に帰る頃には自分の胃の中で半分くらい消化されています。これを吐き出して子供達に与えると、子供達にとっても消化しすい餌となっているのです。
さて、胃の中から吐き出されて半分消化されかかった獲物は餌です。十二指腸のものも餌でしょう。では、空腸や回腸のものは、どうでしょうか？　結腸や直腸のものは？
結腸や直腸のものは人間の感覚であれば、「糞」ということになるでしょう。でも、口腔から肛門にいたる間で、どこからどこまでという見方をしていくと、ここからが違うという決定的な場所がありません。食い物か否かということになると、彼らにとっては「食い物」になるのです。
犬も狼と同じ道をたどってきた動物ですから、同じような習性をもっていますし、「違和感」を感じないのでしょう。人間が犬や狼から離れてしまっているので「違和感」を感じるのでしょうね。
これが、草食動物になると肉食獣よりも長い消化管をもっていても、まだ吸収しきれない栄養素があったり、消化管内で生成されるビタミンを吸収しきれないことがあります。このため、草食動物になると成体といえども、「食糞」をしないと栄養素の欠乏から死んでしまう動物もいます。「糞」といえども、それはまだまだ利用できるものが残っているというのが真相なのでしょう。動物達の中には有効利用を戦略としているものもいますが、人間の先祖は、手付かずの餌を大量消費する方向の戦略を選んだのでしょう。その時から時間が経過しすぎているので、違和感を感じるようになってしまったのではないでしょうか？