獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200805-33

狂犬病予防接種を実施しない飼い主からの犬のとりあげ
投稿日 2008年5月4日(日)12時18分 投稿者 プロキオン

このことについては、現行の狂犬病予防法の範囲で可能です。

下の方の投稿にあるような「接種していない飼い主から犬をとりあげろ」という趣旨の意見は、おそらくは昨今、ネットで各地においてワクチン接種を拒否して批判されている者達の存在があるからではないかと受け止めています。
私も、そのような挑戦的な言動を持ってワクチンを拒否する者達からであれば、犬を取り上げるという選択肢もあるかと思います。
ただし、それが1頭であれば、すぐに新たな飼い主も見つかるかもしれませんが、100頭を超える頭数となると、むずかしいと言わざるを得ません。
保健所においてある檻の数なら、せいぜい3つくらいまででしょうし、管理センターといえども3桁の数の犬を収容したままでは何日も持ちません。そうなれば、犬達を処分するしかないことになります。センターや保健所の職員にしても、躊躇わざるを得なくなるのは致し方ないことでしょうし、それをもって責めるというのは、酷なように思います。

10年ほど前に熱海の山のなかで200頭くらいだったでしょうか、犬の多頭飼育が存在しました。このときには、保健所が飼い主を告発して狂犬病予防法違反で逮捕しました。
飼い主を逮捕して、その間に愛護団体が新たな飼い主を探したのです。もっとも全ての犬に新たな飼い主が現れたというのではなく、子犬についてでした。成犬達は、里親を見つけることができなくて処分の道をたどりました。

飼い主から犬を取り上げるという行為は、狂犬病ワクチンを接種していなければ、現行法でも可能なことは可能でしょう。ただ、受け皿がなければ、その犬達は処分しなくてはなりません。それが狂犬病予防法を根拠としたときの泣き所です。
多頭飼育者がその点を承知していて、自らの我を通そうとしたときに行政は苦慮してしまうのです。これは、「犬が可愛そうだから殺すな」と発言する愛護団体にも問題はあると私は思います。
無法を押し通す者を応援してどうすると言うのでしょうね。里親捜しの受け皿となって援助してあげて欲しいと思います。それが不可能であっても無法者の応援はしないで欲しいです。

行政に携わる者だって、犬達を殺したくは無いのですよ。だから、飼い主を説得してワクチンを接種してくださいと言うしかないのです。
犬を取り上げろと強く行政に迫るのであれば、そのための受け皿を用意してあげないとならないですね。私には、それだけの力はありませんから、保健所や管理センターを非難しませんし、仮に行政が腹を括って一歩踏み出す決断をしたのであれば、私は支持してあげたいと思っています。

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