獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200807-98

Re:犬・猫の食について
投稿日 2008年7月17日(木)16時33分 投稿者 だぬどん

参考までに、私見を述べさせていただきます。
このようなテーマでは、飼い主さんたちにとって各論的な内容のほうが実用的だし
役に立つので、各論中心の話になるのは自然なことと思います。
ただ、あくまで伝える側は、より根本的な原点を見失ってはいけないと思います。

で、この場合原点とは何か。
(猫のほうがわかりやすいので猫の話をします)
それはたとえば「猫にとって理想の食事とは、捕まえたネズミ(小型哺乳類・鳥類)を
その場で頭の先からしっぽまで丸ごと食べてしまうことだ」ということです。
よく「猫に松坂牛ばかり与えて病気にした」みたいな、
ホントかウソかわからないような話がありますが、それも当然です。
なぜなら、猫は霜降りの肉だけバラして食うわけではなく、骨も内臓も血も、
ほとんど生きた状態で丸ごと食うから、バランスよく栄養を摂取できるのです。
いわば、自分の体の縮小版をそのまままるごと取り込むのですから、
これほど効率のいい話はありません。
ネコ科の肉食獣が「食物連鎖の頂点」と言われるゆえんです。

が、現実には、この効率の良さが、猫達の食を
非常に応用のきかないものにしてしまっています。
効率の悪い食物を苦労して消化吸収している動物のほうが、
はるかに色の幅が広く、いざという時の応用が利くのです。
たとえば、牛は肉を食ってでも生きていけます。
もちろん不適ですし、いずれおなかを壊すでしょうが、とりあえずサバイバルはできます。
それにたいし、猫が草を食っても、一時しのぎにも何にもなりません。

と、いった話が根本にあって、そのうえで「じゃあしいたけは?キャベツは?」という話でないと、枝葉末節にとらわれて本質を見失うことになると思います。
迷った時は原点に帰れ、とよく言われます。
この場合の原点とは、「そもそも猫とはどういう生き物なのか」ということだと思います。
以上、余計なお節介かもしれませんが、私見を述べさせていただきました。

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