獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200902-47

Re:猫の口内炎
投稿日 2009年2月19日(木)11時31分 投稿者 プロキオン

猫の難治性口内炎というのは、特定の原因に由来するものではないように考えております。とくにステロイドへの反応が悪くなってきている症例では、代謝疾患がかかわっていることが多いようだと多くの臨床家が感じております。
抜歯による治療というのを私はあまり推奨していないのですが、たしかに効果が認められる症例もあります。お読みになった海外の報告というのも放射線で焼くというのであれば、これは口腔内の病原体(細菌だけでなくウイルスも)をコントロールすることが目的であろうと考えられますし、発想においては同じであると思います。
ωインターフェロンの試験もヨーロッパではあるようですが、こちらも病原体との戦いを念頭に置いたものです。この治療においても抜歯が前提とされておりますので、とくに日本が遅れていて抜歯にこだわっているということではありません。
表に出てこない基礎疾患を探りつつ、できればそちらを治療しつつ、口腔内の病原体を押さえ込むことに主眼があると考えています。抜歯であろうと放射線であろうとそれは手技の問題にすぎません。おそらく、この疾患の画期的な治療法というのは、まだまだ見つからないであろうと私は思っております。あ、ここにこんな見落しがあったといような病気ではなく、逆に昔から馴染みがありすぎる病気だからです。簡単な相手ではなく、これだけ多くの臨床家が遭遇しているのにもかかわらず、今だに進展がないからに他なりません。

なお、放射線ということになりますと、獣医師の場合は、「放射線取り扱い主任者免許」の取得が必要となります。使用施設基準・保管施設基準というような建物の設備基準だけでなく、さまざまな制約があります。
したがいまして、放射線治療となると普及するということではなく、特定の病院へ出向くというような形になると思われます。


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