意見交換掲示板過去発言No.0000-200908-15
Re:肥満細胞腫 |
投稿日 2009年8月6日(木)12時15分 投稿者 プロキオン
肥満細胞腫においては、細胞中に多数の顆粒を有しており、この顆粒が放出されてさまざまな障害をひきおこします。腫瘍が大きくなるということよりも、腫瘍細胞から放出されるこの物質による弊害の方が目に見える形で認知されることが多いようです。 このため、肥満細胞腫では、ヒスタミンブロッカーの投与等を行って体調の管理をしたりしますし、抗癌剤によって直接的に肥満細胞腫を攻撃すると壊れた腫瘍細胞から一度に大量の顆粒が放出されてひじょうに重篤な状態をひきおこすこともあるので注意が必要であるとされています。 そのために外科的に摘出できるものは摘出して、それから抗癌剤による化学療法をとるというのも不思議ではなく、むしろそちらがメインの考え方になるように私は受け取っております。 しかしながら、今回の症例ではその外科的な適応をとったにもかかわらず、斃死に至ったということであり、これは、化学療法剤で腫瘍を攻撃したというのではありませんが、腫瘍に対して侵襲を加えたということですので、まったく予想外ということでもありません。 低体温や出血ということが生じていれば、やはりヒスタミンショックが起きたと考えてもおかしくなく、相手が肥満細胞腫であれば、まず第一に考えられなくてはならない原因ではないかと思います。 したがって、病院がそのような説明をしたとしても 私には奇異に感じられません。 ただ、いつもながら思うのですが、このような事態が起きた際には病理解剖を実施して、その後に病理組織検査をする必要があります。死亡した患者の体の中にどのような現象が起きていたのか、その病理組織学的な変化を確認して、病院の説明とつき合わせてみないと本当のことはわかりません。 今回の事例は、ひまわりさんにとっては俄かには受け入れがたい説明かもしれませんが、獣医師からみると、ありえる事例でもあります。そういう時に、双方のためにも病理学的な検査が一般的に実施されるようになると良いなと考えています。
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