獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201001-7

Re:頬を強くなでるとひきつる(?)犬
投稿日 2010年1月9日(土)10時50分 投稿者 プロキオン

犬の口吻というのは、感情を表わす器官もかねているように思います。母犬が子犬の口吻やその周囲を舐めてあげるのは、単に世話をしているだけでなく、愛情や安心を伝えるメッセージでもあります。
この箇所をやさしく撫ぜたり、さすったりすると言うのは、こちらの気持ちを伝えて安心していいよというメッセージを伝える事となります。その反面、躾け教室によっては、口吻をぎゅっとつかまえて、犬に服従を強いたり、叱るための合図としてつかったりもしています。所謂誤った意味でのマズルコントロールのことですね。
そのような敏感な場所なので、「さする」というような同じと考えられる行為であっても、犬によっては、「安心、心地よい」とはまったく逆な「嫌な、不快な」という受け取り方をしてしまうこともあるように思います。
子犬の頃から見られて、現在5歳ということですから、主治医の先生が、癖あるいはトラウマのようなものかと表現されたのは、そのような意味合いからではないでしょうか?

口唇をめくり上げるという仕草は、動物においてはフレーメンの際によく見受けられる所作ですから、とくだん珍しいということでもないと思いますし、カーミングシグナルで恐怖や怯えを表現する際にも口唇がめくって歯をむき出すということがあります。
今回のお話では、仕草の対象が飼い主さんに向けてであって、その飼い主さんが犬が嫌がっているように見えるということなのですから、やはり「止めてほしい」という気持ちを伝えてきていると受け取るのが自然な解釈のように思います。

大事な事としては、歯茎や口腔内に異常が認められていないということが前提であることと、行為を嫌がることと飼い主さんが嫌いということは別の問題であるということですね。
職業柄、犬の口腔内を覗き込むということは欠かすことができなく、口吻に手をかけて口をひらくということはよくやります。
そういうときに、いきなりではなく一声犬に声をかけてからとか、なぜさすってからとか、終わった後にも声をかけてさすってあげるとか、犬にとって不快な記憶として残らないように継続的に犬と仲良く接することができるようにという心遣いは必要だと考えております。

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