意見交換掲示板過去発言No.0000-201001-8
Re:麻酔事故について |
投稿日 2010年1月9日(土)10時54分 投稿者 だぬどん
一獣医師の意見です。 かなりデリケートな事例であり、実際のやり取りをした人間でないとなんとも言えない部分はありますが…。 17歳で口腔内腫瘍で食事ができていない猫ですから、 相当リスクが高いのは間違いないと思います。 また、事前の検査の結果も、避妊手術の術前検査などとは違って、 危険は承知で行う処置になるため、正直判断は難しいです。 問題は、主治医と飼い主さんのコミュニケーションのほうですね。 獣医師的に普通に考えれば、状況から言っても、 「麻酔でのリスクは高いが、この子の場合はそうもいってられないので」 というのは、「手術後になくなる可能性はかなり高い」という意味を含みます。 けど「危険は高いが、ほっといたら100%助からないので、 できることはやりましょう」ということだと思います。 結局、この時点での主治医と飼い主さんの認識にズレがあったのが問題です。 どちらに責任があるかといえば、インフォームドコンセントが不十分だったという点では 獣医師側にも責任はあると思います。 つまり、獣医師の常識でものを考え、危険性を十分説明したつもりになっていたが、 飼主さんは十分理解していなかった、ということであれば。 それ以外の部分については、正直あまり無責任なことは言えないので、 なんとも言えません。 個人的には、こういう症例については、治療のオプションに加え、 「あえて何もせず家で見取る」という選択肢を必ず提示しています。 それがいいことかどうかは意見が分かれるでしょうが、 それを望む飼い主さんもやはりおられるものですから。
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