獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200102-56

佐々木くんのこと・ぎんぺんさん>
投稿日 2001年2月11日(日)22時19分 パールちゃん

ぎんぺんさん、お久しぶりです。

> 太平と出会って2年と5ヶ月。そのとき獣医さんに、
> 「2〜3才ですね」と言われたから現在5才くらい。
>でも本当にそうなのかな、っていつも疑問に思っています。
> 実はもう10才超えているのでは・・・って。

9年前に迷子で我が家にやってきた佐々木くんが昨年秋に亡くなりました。
当初の獣医さんの見立てでは2〜3歳だったので、11〜12歳で逝ったことになります。
犬の寿命としては短いなぁと思いもしますが、
最初の見立てが間違っていて実はもう15歳を越えていたのかも、なんて
気持ちがふとよぎることもありました。
でも、歳なんか関係なく、我が家の犬になってからの佐々木くんの後半生は、
それはそれは幸せでした。
迷子で飢えに苦しみ、そのうえ重度のフィラリアだった佐々木くんが私の元へきたのは、
やはり運命の引き合わせだったと思います。

出会いがあり別れがある、と言葉にしてしまうのはキザですが、
だからこそ共に過ごす一日一日が輝きに満ちたものであってほしいですよね。
いつか来る別れの日を憂いたり、日々の些細なことでクヨクヨしたり、
人間ってどうしてこんな余計な感情をもってるんだろうって、
ときどき考えてしまいます。
犬はそんなことを考えず、うれしければしっぽを振り、悲しければ耳を倒し、
現実をあるがままに受け入れて一瞬一瞬を生き、そしてフッと命の灯を消します。

亡くなるの日の夜、佐々木くんは私が横にいるのをいやがりました。
ずっと付き添っていた私から視線を避け、体の向きを変えて背を向けました。
まるで、ちょっと寝るからね、と言っているようでした。
そして、その場を離れた私がもどってきたときには、その姿勢のまま息を引き取っていました。
最期の瞬間を見られたくなかったんだと思います。静かに旅立ちたかったんだと思います。
だから私は、泣いたり騒いだり揺り動かしたりせず、佐々木くんの頭にそっと手を置いて、
「おやすみ」と言いました。

> 6月頃に実家を出て、太平と2人暮らしになります。
> 場所は散歩し易いところで、動物病院のすぐ近くに決めました。
> でも朝早く仕事に出かけ、夜遅い毎日。日中一人で寂しいだろうな、
> 犬連れて越してきて御近所とうまくやっていけるかな、
> 年とって介護が必要になったら私は仕事をやめられるだろうか?等
> いろいろ心配事は多いです。

ぎんぺんさんと暮らす新しい家、きっと太平くんはうれしいですよ。
留守番の寂しさは、待つ喜びになります。
太平くんを通じて御近所ともうまくやっていけますよ。
心配事を新しい生活への期待に変えてくださいな。
橋の下で出会った太平くんがこんなにも大切な存在になるなんて、
ぎんぺんさん、感慨深いものがあるでしょう?
きっと太平くんもね、橋の下で出会った人がこんなに大切な人になるなんて、
彼自身ときどき二マ〜ッて笑ったりしてるんじゃないかな?

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